立党の意味さえ失う大惨敗を喫した希望の党の両院議員懇談会がきょう午後、国会内で開かれた。
小池百合子代表が会場に到着すると、議員たちはほぼ全員が起立で迎えた。
小池が近づくと近畿地方の選挙区で当選した官僚出身議員は「●●です」と背筋を伸ばして自己紹介し、東京ブロックの比例復活議員は最敬礼で握手を求めた。2人とも民進党出身だ。
希望の党は投票日前日に樽床伸二を代表代行にすえるまで、小池代表以外に役員が一人もいなかった。投票日に小池がパリに高跳びするため、やむなく樽床を代表代行に任せた、との見方もある。明らかに小池の私党である。
全員の起立と最敬礼で握手を求めるさまは、女王様に かしづく 臣下を思わせた。
両院議員懇談会は紛糾し3時間に及んだ。小池の責任を問う声もチラホラあがったが、続投を求める声の方が大きく、代表辞任には至らなかった。小池は引き続き代表を務める。
希望の党の当選者50人のうち38人が民進党出身者だ。踏み絵を踏んだことで、選挙期間中は有権者から「裏切り者」などとの叱責を浴びた。
希望の党・衆院議員の4分の3を占める民進党出身者に配慮しないことには党運営はできない。
きょうの懇談会でも憲法9条の扱いを含んだ政策協定が議題の一つとなった。
懇談会を終え会場を出てきた民進党出身議員は「安倍政権の憲法9条改正は認めないということで理解した」と話した。口調はきっぱりとしていたが、目に力はなかった。
樽床代表代行の記者会見で田中は次のように質問した。「安倍政権が改憲案を出してきた時、希望の党はどう対応するのか?」
樽床は「現時点で私の口からは言えない」とかわした。質問者の田中に目さえ合わせてくれなかった。それについては聞かないでくれ、と顔に書いてあった。
首班指名を誰にするかは、樽床代表代行と大島敦(前・民進党幹事長)に一任された。二人とも民進党出身者である。首班指名で党内が割れるということはない。
改憲論者で鳴る小池の私党である以上、希望の党をあげて「9条改憲反対」に回ることはありえない。
長島昭久、細野豪志らをのぞく民進党出身者のほとんどが「反対」の意志表示をするだろう。
希望の党が割れるのは安倍政権が改憲案を国会に上程してきた時だ。
(敬称略)
~終わり~