尖閣諸島防衛のため海上自衛隊が初の空母「いぶき」を就役させると、中国人民解放軍は空母「遼寧」につづく「広東」を建造、配備した。絵に描いたような軍拡競争のなかで「事件」は起きる。
中国人民解放軍が宮古島、与那国島の自衛隊レーダーサイトを爆破。与那国島を制圧下に置き、島民を拘束したのである。
中国政府は尖閣諸島の領有と交換に人質の解放をほのめかす。
日本国首相・垂水慶一郎は国家安全保障会議で「国民の生命と財産、そして領土のどちらも失うつもりはない」との決意を示す。
緊張が極度に高まるなか、航空自衛隊の偵察機が多良間島(宮古列島)上空で中国機に撃墜された。
日本は頼みの米国からも突き放される。20XY年4月26日、垂水首相はついに防衛出動を決める。事実上の戦争である・・・
以上はビッグコミックで好評連載中の『空母いぶき』(作・かわぐちかいじ)のストーリーだ。
国民は大本営発表を受けたマスコミ報道でしか情報を得ることができない。現場海域の実情はどうなっているのか、知る由はないのだ。
為政者はいかなる情報操作も可能となる。戦端を開くことを正当化できるのである。
中国脅威論を受け自衛隊がミサイル部隊の配備を計画する宮古島市。新基地建設の是非を問う市長選挙があす、告示される。
沖縄にもっと関心を持ってもらおうと南西諸島の自衛隊基地に反対する集会がきょう、首相官邸前で開かれた。(主催:琉球弧自衛隊配備反対アクション)
宮古島出身の男性がマイクを握った―
「親も(基地に)反対だが表立っては言えない。民意とは何なのか。地元が被害を被ってしまう。ミサイル基地が攻撃対象となる可能性があるからだ」。
「宮古島にすべてをかぶせて良いのか? (宮古島を)こうした環境に置いた内地の無関心を変えていかねばならない」。
男性は目を赤くしながら とつとつ と語った。時おり言葉をつまらせた。
漫画『空母いぶき』のように軍拡競争をしていると戦争になってしまうよ、と訴えているようだった。
辺野古や高江はようやく全国ニュースになった。だが、さらに南の遠隔地で起きていることは、まだまだ知られていない。
~終わり~