時の政権が自衛隊をいつでもどこにでも派遣でき、武力行使も可能にする「戦争法案」が、きょう、国会で審議入りした。
国会は与党が圧倒的多数を占め、どんなに酷い法案でも出せば通る。憲法9条を変えないまま日本が海外で戦争できる国になるのである。
危機感を募らせた市民が、審議の始まる1時間前から国会前に詰め掛けた。議事堂前には無数のノボリや旗がひるがえった。(主催:総がかり行動実行委員会)
炎天下、国会前まで足を運んだ参加者に話を聞いた―
夫と共に参加した女性(60代・都内)は「審議すればデタラメさが分かる、安倍さんには絶対だまされない」。とつとつと語る表情のなかにも怒りがこもっていた。
解釈改憲が立憲主義に反することから看過できず、抗議に訪れた法律家の姿も目立った。ある女性弁護士(50代)は次のように話した―
「憲法があって行政も国会もある。憲法の下許された行政権なのに。国会が堂々と憲法違反をしている」。
都内の福祉施設で働く女性(20代)は「9条変えるな」と議事堂に向かって懸命に声をあげた。
女性は堰を切ったようにインタビューに答えた―
「日本は戦争しない国から戦争ができる国になる。歴史的な節目に声をあげなければ戦争に加担していることになる。自分たちの子供や未来の子供たちに『あの時、何をしていたの?』と言われないように・・・」
「日本を守ってきたのは憲法9条ではない。9条を守って来た人たちが日本の平和を守ってきた。この人たちの思いを引き継ぎ行動していかなければならない」。
60年安保の際は、連日10万人もの市民が議事堂を取り巻いた。60年安保はサンフランシスコ講和条約と同時に締結された日米安保条約の延長でしかない。
今国会できょうから審議される安保法制(戦争法案)は、60年安保の比ではない。戦後70年間、日本が掲げてきた平和主義が根底からひっくり返るのである。
議事堂前の抗議者は1千人足らず。国会のテレビ中継もない。これでは「安倍退陣」に追い込むこともできない。
官邸にコントロールされたマスコミに危機感がないため、国民は実情を知らされないままだ。
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