「植民地支配、侵略に触れたくないのは認めたくないのが腹の中にあるから」。村山富市元首相は安倍首相の真意を見透かした。
村山氏は安倍晋三首相の昨夜の発言に明らかに憤っていた。
安倍氏は昨夜、BSフジで70年談話は村山談話を引き継ぐとしながらも、「侵略」と「お詫び」を書く必要はない、と話した。事実上、村山談話の否定である。
村山氏は今夕、鳩山由紀夫元首相、鈴木宗男・新党大地代表らと共に都内で講演会を開いた。安倍首相の発言を受けて、会場はメディアで一杯になった。
「積極的平和外交というのが僕には分からない。安倍さんの基本的な考えをもっとはっきりしてほしい」。良識派の国民が抱く安倍首相への不信感を村山氏が代弁した。
「安倍さんは第一次内閣の時は(村山談話を)継承した。20年も経ってこんな問題になるとは思わなかった。見直すと言ったばっかりに、中国からは『一体どうするつもりか?』と聞かれる」―政界引退後も中国や韓国に招かれる村山氏ならではのコメントだ。
鳩山元首相も安倍首相の外交姿勢に不安感を示した―
「安倍総理は村山談話の真髄の部分を踏襲してくれなければ困る。でなければ日中、日韓関係がますます厳しくなる」。
鈴木宗男代表も村山談話の継承を支持した―
「戦後50年がひとつの区切りだ。10年ごとに時の総理の『思い(談話)』などを出すのはいかがなものか? 今年に入ってから戦後70年談話の間違った盛り上げ方が(マスコミによって)されている。法要だって50回忌で一つのけじめだ。これで十分」。
村山元首相は20年前、談話を出すに至った経緯を振り返った―
「中国やアセアンを訪問して戦争のけじめをつけなければならないと感じた。『もっとアジアに腰をすえてやって欲しい』と、どこに行っても言われる。『日本は過ちを繰り返すんじゃないか』と言葉には出さないが、そう言っているように感じた」。
「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」。日本と同じ敗戦国であるドイツのヴァイツゼッカー元大統領の言葉だ。
歴史を無視して「未来志向の外交」などチャンチャラおかしい。
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