「村山談話」が風前の灯となっている。安倍首相は、終戦の日の8月15日に70年談話を出す。村山談話のキモであり、国際社会に定着した「反省とおわび」は否定されそうな雲行きだ。
「平和の灯を消すまい」と元外交官、ジャーナリスト、学識経験者らが動く。
元外務省中国課長の浅井基文氏、元毎日新聞記者の西山太吉氏、元レバノン大使の天木直人氏ら11人(いずれも「村山首相談話を継承し発展させる会」メンバー)が、9日から4日間の日程で訪中する。
両国間の関係は日中国交回復(1972年)以来、最も険悪な状態となっている。訪中団のミッションは、致命傷となる「安倍談話」を出させないようにすることだ。
中国滞在中は、中国共産党対外連絡部幹部と会うなどして、中国政府に日本国民の真意を伝える。
訪中団はきょう国会内で記者会見を持った。日本のマスコミはまばらだったが、中国からは人民日報や中央電視台、韓国からは聯合通信といった国を代表するメディアが取材に訪れ、真剣に耳を傾けた。
「村山談話を否定する安倍首相の意向ははっきりしている。(村山談話を否定するな、という)中国の考え方をはっきりと安倍首相に伝えたらどうか、と言いたい」。元外交官の天木直人氏は 訪中の抱負を てらう ことなく語った。
人民日報の記者が「(安倍談話を)阻止する方法はあるか?」と質問した。
「中国も(「出すな」と)はっきり言え。8月15日に出てしまってからでは遅い。言うんだったら早く言え」。天木氏は危機感を込めた。
「安倍首相が村山談話を否定する安倍談話を出した場合、日本は国際社会から孤立する恐れさえある。中国と韓国への“ 宣戦布告 ”にも等しいのでは?」。筆者がこう質問すると、外務省・元中国課長の浅井基文氏が次のように解説した―
「アメリカの出方が最大のポイント。アメリカは安倍首相の姿勢に警戒感を強めている。日本の国内世論で安倍首相の暴走に歯止めをかけるには今や手遅れ。アメリカが何と声を掛けるか。荒療治をしてでも安倍首相の首をすげかえるか…」。
無条件降伏した日本に民主主義を持ち込んだのが米国なら、平和を破壊しようとする戦後最悪の首相の暴走を止められるのも米国。
浅井氏によると「中国はアメリカに(村山談話の否定は)断固反対と伝えている」という。
この国のマスコミは安倍首相の暴走を止めることはできない。結局は中国とアメリカの外圧だのみだ。