78年前のきょう、米国が広島に原爆を投下した。ソ連参戦を知っていた米トルーマン大統領が日本の降伏を早めるためだった。もちろん世界初の核保有国であることを誇示する狙いもあった。
原爆の強烈な光と高熱により人間の影がコンクリートに一瞬にして焼き付けられる。ヒロシマの記録写真にあるが、伝説の画家バンクシーが昨秋、ウクライナの首都キーウで同様の核の惨劇を描いた。
シーソー遊びを楽しんでいた子どもが、核攻撃によりシーソーごとコンクリートブロックに影となって焼き付けられているのだ(写真参照)。
バンクシーが壁画を描いたのは、プーチンがウクライナへの核攻撃を仄めかしていた頃だった。
伝説の画家は作品を仕上げた直後に「ロシアが我々の子供にもたらす惨禍を見てくれ」とのコメントをインスタグラムに添えた。
作品をスマホ撮影していた男性は「ヒロシマ・ナガサキのような悲劇が起きてはならない」と強い口調で語った。(写真参照)
ウクライナが核の脅威にさらされる度にブダペスト覚書(1994年)を思い出す。
当時世界第3位の核保有国だったウクライナが核を放棄すれば、「ウクライナの独立と主権、領土を保障しますよ」というものだった。締約国は米国・英国そしてロシア。
ウクライナは覚書を遵守して核を手放した。すると30年と経たぬうちにロシアはウクライナに軍事侵攻してきたのである。
米国と英国は覚書の趣旨に沿ってウクライナの独立と主権と領土を守るために軍事援助、資金援助した。
誰がウソつきで、誰が約束を守ったのか。言うまでもないだろう。
もしウクライナが核を手放さず、今なお保有していたら、ロシアはウクライナに攻め込んだだろうか。
リベラル、インテリ諸氏から「核抑止論とはケシカラン!」とのお叱りを受けそうだが、世界の悲しき現実である。
~終わり~
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