
慰霊の黙祷を捧げる人が次々と訪れた。=1日、横網町公園 撮影:田中龍作=
1923年のきょう9月1日、発生した関東大震災の混乱で朝鮮人大虐殺が起きた。
「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などとするデマが流布され、それを真に受けた軍、警察、自警団が在日朝鮮人を、殴る蹴る、凶器を使うなどして殺害したのである。その数は数千人にのぼる。
国家権力(具体的に軍部、警察)は、共産主義者や労働組合員など不都合な日本人も混乱に乗じて殺害した。
日本人にとって恥ずべき歴史であり、同様の過ちは二度と繰り返してはならない。毎年9月1日には東京墨田区の横網町公園で慰霊祭が執り行なわれている(主催:実行委員会)。
「虐殺はなかった」と主張するグループが慰霊式典の妨害に来た年もあったが、今年はなかった。

公園裏の出入り口はフェンスが二重に設けられた。=1日、横網町公園 撮影:田中龍作=
表の出入り口と公園内は私服警察と機動隊の輸送車で固め、裏口は柵を築き出入りできないようにした。厳重警戒である。
日本政府が虐殺の実態調査を行っておらず、小池知事は、石原慎太郎知事(当時)でさえ発出してきた追悼文を2017年以降送っていない。レイシストたちが歴史的事実を否定する拠り所にもなっている。
日本の凋落は排外主義に拍車をかける。SNSの普及でデマは威力を増す。
日本社会は百年前よりもさらに危険な時代となった。

ラサール石井議員(社民党)も慰霊式典に参列した。=1日、横網町公園 撮影:田中龍作=
~終わり~
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