
千代田区役所はイチョウ並木を一本残らず伐採した。木陰もなく歩くのには酷だ。=29日、神田警察通り 撮影:田中龍作=
この夏、東京都では熱中症の死者が100人を超えた(東京都監察医務院まとめ)。連日のように37~38度という危険な暑さが続く。
必要な用事があっても外出するのに恐怖さえ覚える。街路樹があれば日陰を伝って歩けるのだが、行政が確信犯的に街路樹を伐りまくる。
東京のド真ん中で江戸の面影をその名に残す神田が、事態を象徴している。

作業員は樹齢50年はあるイチョウの大木をチェーンソーで切り倒した。ものの数十秒とかからなかった。=2月、神田警察通り 撮影:田中龍作=
神田警察通りにはイチョウ並木がつい最近まで「あった」。イチョウは東京大空襲の惨禍を経て、火災から街を守る目的で戦後植えられ、地元住民が大事に守ってきた。炎天下を歩く人々に日陰を提供してきた。
ところが千代田区役所はガードマンまで入れて力づくでイチョウ並木を伐採した。住民が並木に張り付くと、工事時間の表示をすり替えて伐採作業を強行した。騙し討ちである。
強行伐採した後は根株まで抜いて、そこをアスファルトで埋めた。跡形を消して完全犯罪を目論んだのだ。

14年にわたって激しい内戦が続いてきたシリアだが、首都の街路樹はこんもりと茂っていた。=5月、ダマスカス 撮影:田中龍作=
貴重な緑を破壊する東京の行政は世界の流れと逆行する。ヨーロッパの諸都市に行ってもアラブの戦地に行っても、都会の緑は豊かだ。ワルシャワなどは街の中に森があったりする。行政が緑を大事にしているのだ。
イスラエル軍は侵攻してくると木を伐る。オリーブだったりオークだったりする。貧しきアラブの民の貴重な現金収入源だ。
オリーブの木を伐るのは「武装勢力の隠れ場所になるから」というのが理由のようだ。戦車の砲撃陣地を作るためにオークの木を伐るケースもあった。
千代田区、イスラエル軍共に人間の血が通っておらず無慈悲であることは酷似している。両者ともに自然破壊のテロリストである。
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