【レバノン発】ガザ侵攻1周年を田中はベイルートで迎えた

暗殺されたナスラッラー師と最上階だけピンポイントで破壊された集合住宅。レバノンならではのコンビネーションだ。=6日、ベイルート南部 撮影:田中龍作=

イスラエルの諜報機関モサドが惨劇を予告するようなことを言い始めた。ヒズボラの司令部が大病院に隣接するモスクの地下にある、というのだ。

2008~09年のガザ戦争を思い出す。イスラエル軍のミサイルがモスクに着弾すると、しばらく経って、大爆発特有の火柱が上がるのだ。モスクの地下がハマスの弾薬庫になっていた証拠である。

今回、モサドの分析が正しいのか間違っているのか、分からないが、近い将来イスラエル軍が猛攻を加える可能性は十分にある。

今回のガザ侵攻でイスラエルは多くの大規模病院を攻撃した。患者や医師、看護師を巻き込む地獄図が展開された。

「アルシーファ病院の地下にハマスの司令部があった」という口実が象徴的だった。

文字通りの路上生活者となった避難家族。画面左にレバノン軍が配置されていた。=6日、ベイルート 撮影:田中龍作=

東地中海の陽光を受けて頭が沸騰するほど暑いベイルートの海岸沿い。イスラエル軍の攻撃を逃れてレバノン南部から避難してきた人々であふれる。こうした光景は数キロにわたって続く。

あるエリアではレバノン軍3個小隊が道路を封鎖して避難民に寄り添っていた。「避難民の中にテロリストがいる」と叫んでイスラエル軍は爆撃してくる。ガザで日常的に繰り返される光景だ。レバノン軍はそれを警戒して部隊を配置したのだろうか。

レバノンのナジーブ首相によれば、国内避難民は100万人にのぼる。海岸沿いの光景を見るかぎりまったく不思議はない。

夥しい数の国内避難民は、ガザの惨劇をすでに再現している。モスクと病院への攻撃は、これから再現されるであろう惨劇だ。

国際空港近くには軍の装甲車が配備されていた。=6日、ベイルート南部 撮影:田中龍作=

昨年10月、イスラエル軍がガザに侵攻すると田中はすぐに現地に飛んだ。現地とは2ヵ所。ガザボーダーとイスラエル側のレバノン国境だ。

ゴラン高原の夥しい数のメルカバ戦車が配備されていて、緊張感をみなぎらせていた。あれから1年、イスラエルの陸上部隊はレバノン領内に押し入った。

開戦直後と1周年を現場で見てきた田中は、イスラエルとヒズボラが、抜き差しならない所まで来ていることに恐怖さえ感じる。背筋がゾクゾクするほどに。

 ~終わり~
  
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