ラファの大虐殺を防ぐには エジプトの革命に学ぶ

ガザへの陸上侵攻を待つイスラエル軍。=昨年10月、エレズ 撮影:田中龍作=

 約150万人が避難するガザ最南端のラファ。狭い街はパレスチナ住民がひしめく。

 国際社会の制止をものともせずイスラエル軍は陸上侵攻するのか。侵攻すれば非戦闘員の死傷者は測り知れない。世界は固唾を呑む。

 BBCがラファを一望する位置にカメラを設置しているが、イスラエル軍の攻撃が始まったら たちどころに 破壊されるだろう。

体を張って戦車を止める「反独裁政権」の民衆。天安門事件のように戦車が民衆を轢き殺したらアルジャジーラが世界に実況中継していただろう。=2011年、カイロ 撮影:田中龍作=

 2011年にエジプトで起きた革命を思い出す。腐敗しきった独裁政権を倒そうと人々はカイロのタハリール広場に座り込んだ。その数5万人とも10万人とも言われた。

 軍のヘリコプターは低空をひっきりなしに旋回し、戦車がカイロの街の交差点という交差点に配備された。

 「ムバラク打倒」を叫ぶ人々が座り込みを続けるタハリール広場とその周辺は言うまでもない。広場近くのホテルの玄関にも戦車が横づけされた。田中はホテル側の配慮で常時裏口から出入りした。

 革命を成功に導いたのはアルジャジーラだった。アルジャジーラはタハリール広場を取り囲む高層ビルの屋上にTVカメラを置いたのである。すべてのビルとまではいかないが、数十台規模でカメラを置いた。

 治安部隊が高層ビルAに踏み込んで来て潰されたら、次はB。Bに踏み込まれたら次はC。Cに踏み込まれたら次はDという具合にしてタハリール広場の占拠を伝え抜いたのである。

 市民によるタハリール広場の占拠開始から18日目、独裁者ムバラク大統領は辞任した。タハリール広場の革命は、「アルジャジーラの革命」とまで言われた。

日本と違ってメディアは独裁政権に対する抑止力になる。=昨年10月、ガザボーダー 撮影:田中龍作=

 独裁政権は可視化を嫌がる。蛮行は隠したいのだ。これまでもイスラエル軍は節目節目でネットを遮断してきた。

 イスラエル軍のラファへの陸上侵攻を世界に晒す必要がある。なにより抑止力になる。

 固定カメラはイスラエル軍に破壊されるだろうから、撮影用ドローンを順次、数台ずつ飛ばすのである。第1波が叩き落とされたら、次は第2波。第2波が叩き落とされたら次は第3波。という風に。

 篤志家がいてドローンを数百台準備できれば、大虐殺を防げる可能性が高くなる。

  ~終わり~

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