硫黄島の戦闘(1945年)では米軍の艦砲射撃により島の形が変わったとまで言われる。ガザはそれ以上かもしれない。
イスラエル軍が陸と空と海からありったけの砲弾を絶え間なく撃ち込んでいるのだから。ガザの面積は東京23区の半分しかない。
きょうはガザの被害をどうしてもこの目で見たかった。どこまで破壊されたのか? ジェノサイドはどれ程の規模に上っているのか?
過去最大の被害を出した2014年の戦争よりも凄まじいことは想像がつくが、実際に確かめたかった。
田中は北端のエレツからの入域を目指した。かつてのガザ戦争中も人間を出入りさせていたからだ。
エレツから約7キロ手前のチェックポイントで、イスラエル政府広報局(GPO)が発行した記者証を見せたが、イスラエル軍兵士は「ジャーナリスト・ノー」と人差し指を横に振り、通過を認めなかった。
ガザの中で取材活動をしているのはガザンと呼ばれる地元のジャーナストだけだ。
トルコ国営アナトリア通信の記者がリポートしていたが、顔は明らかにアラブ人のそれである。
田中の友人はヨーロッパの某通信社の記者だが生まれも育ちもガザである。
パレスチナ人ドライバーと共にガザボーダー沿いに走った。行ける所まで行って歩いてでもガザに入域するつもりだった。
しかし、ガザ方面につながる道路はあらゆる所に軍か警察のチェックポイントがあり、その度にGPOの記者証を見せたが、首を横に振られた。完全封鎖である。どこからもガザに入れない。
ガザ上空はいつものようにジェット戦闘機が金属音を立てて飛びミサイルを落とした。きょうはこれまで見たうちで最も大きい黒煙が上がった。
戦車と野戦砲は大気を圧縮するような轟音をあげ砲弾を撃ち込み続けた。イスラエル軍の猛攻が続いていることに変わりはないのだ。
空爆も陸上からの砲撃も着弾音はこれまでとほとんど同じ北部から響いてきた。
当局発表を受けたメディアが報じるように、陸上部隊がガザ中央部のガザ市近くに達したとは考えにくい。
3日前くらいまではイスラエル領近くの林の中で銃撃戦の音がした。ハマスがすぐそこまで侵攻してきていたのだ。
きょうは銃撃戦の音がガザの中の方からしか聞こえてこなかった。ハマスは押し込まれているものと見られる。
当局発表はあくまでも自分たちに都合のいいようにしか言わない。イスラエルであってもハマスであっても同じだ。
田中は自分の目で見、耳で聞いたことを伝えていきたい。戦況に即した情報を。
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田中は人類史に残る大虐殺が起きる恐れのあるガザを取材するためにパレスチナに来ております。
危険手当を伴うためにドライバーに日額1千ドル(約14万円)も払わなければなりません。
飛行機代、ホテル代ですでに借金まみれとなっており、そこに巨額の取材費がのしかかります。
連絡先:tanakaryusaku@gmail.com