作戦遂行上の都合からなのか。イスラエル軍のガザへの陸上侵攻は、現時点(日本時間17日1時)では未だである。
ガザ北端のエレツにはイスラエル軍の戦車数百両が集結し侵攻開始を待つ。
「ドーン・ドーン」。ハマスのロケット弾が轟音と共に空を舞う。イスラエル軍の総攻撃が始まっても一向におかしくない雰囲気だ。
それともハマスの武器弾薬が尽きるまでイスラエル軍は陸上侵攻を見合わせるのだろうか。
エレツの基地を見て「やはり」と思ったのはイスラエル軍名物の超大型ブルドーザーが増両され、機甲部隊と共に進撃の演習を繰り返していたことだった。
超大型ブルドーザーは戦車などが砲撃した建造物を完全に破壊するのに用いられる。ブルドーザーが機甲部隊と一緒に動いても驚きはしない。
だが「ガザへの本格侵攻で超大型ブルドーザー」となると背筋が寒くなる。理由はこうだ―
2000人超のガザ住民が殺害された2014年侵攻の際、かつて商店のあった所が跡形もなくなっていて、きれいに整地されていた。地面には大きなキャタピラーの跡がある。メルカバ戦車のそれよりは一回り小さい。
友人でもあるガザ在住のアラブ人ジャーナリストに「これは何だ?」と尋ねた。友人は「ブルドーザーがきれいにしたんだ。虐殺の跡を隠すためにね」と教えてくれた。
ネタニヤフ首相は「ガザを無人島にする」と公言しており、実際イスラエル軍は、かつてない猛攻撃を加えている。
イスラエル軍は本格陸上侵攻で建造物を破壊し尽くした後、夥しい台数の超大型ブルドーザーで、瓦礫の山となったガザを更地にするつもりだ。準備は整った。
~終わり~
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田中は人類史に残る大虐殺が起きる可能性のあるガザを取材するためにパレスチナに来ております。
危険手当を伴うためにドライバーに日額1千ドル(約14万円)も払わなければなりません。
飛行機代、ホテル代ですでに借金まみれとなっており、さらに巨額の取材費がのしかかります。
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