パレスチナで写真を撮るということ

イスラエル軍の写真ですが記事とは直接関係がありません。=2018年、西岸国境付近 撮影:田中龍作=

 BBCの記事中にある写真を見て、頭を殴られたような錯覚を覚えた。ここをクリックして頂きたい。「田中龍作。お前にこの写真は撮れるか」と突き付けられているように感じるのだ。

 イスラエル軍の装甲車両と、立ち向かうパレスチナ青年とカメラマンの3者が同じ直線上にある。

 装甲車両の屋根は開くようになっていて、兵士はいつでもパレスチナ青年とカメラマンを撃つことができる。

 カメラマンは、イスラエル軍に狙われるパレスチナ青年と同じ位置にいるのだ。このポジションから写真を撮るには決死の覚悟が要る。

 10年も前になるが、田中はイスタンブールで反政府デモの取材をしていた際、迂闊にも機動隊と活動家とを結ぶ直線上に入ってしまった。

 田中は被弾した。催涙弾のキャニスターだったから骨折で済んだが、パレスチナのように実弾だったら、どうなっていたか。

イスラエル軍がパレスチナ自治区の中心都市に侵攻してきた。カメラのシャッターを押すか押さないうちに強烈なサーチライトを浴びせられた。田中は即座に死角に逃げた。直後に発砲された。=2023年1月、西岸 撮影:田中龍作=

 イスラエルのアリエル・シャロン将軍(のちに首相)側近の軍事ジャーナリストから直接聞いた話だが、イスラエル軍がPLOのアラファト議長の立て籠もる施設に爆撃を加えて、同議長を殺害しようとしたことがあった。

 その時、西側のジャーナリストたちが覆いかぶさるようにして施設を囲み、アラファト議長を守った。

 イスラエル軍といえども西側諸国のジャーナリストたちを大勢殺すわけにはいかない。結局、イスラエル軍は同議長が籠る施設を爆撃できなかった。

 アラファト議長健在の頃のパレスチナの写真はどれもド迫力がある。硝煙と血と土の香りがプンプンとする。イスラエル軍の戦車が放つ砲声が地鳴りと共に聞こえてきそうだ。

 ジャーナリストが覚悟を決めて取材に臨んでいた物的証拠でもある。

    ~終わり~

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パレスチナ(ガザ・西岸)