ウクライナ東部を実効支配するロシア軍がウクライナの本を焼却している、とCNNが伝えた。
報道に触れた時、田中はまったく驚かなかった。ウクライナ北部に侵攻したロシア軍が基地化していた小学校に、銃で撃ち抜かれた国語の教科書(写真)が無造作に捨てられてあるのを見たことがあるからだ。
教科書はロシア軍が射撃の練習台にしたのか。遊び半分に撃ったか。
ウクライナ軍が自国の国語の教科書を銃で撃ち抜いたりしない。まして逃げるだけで精一杯の村人がそんなことをする余裕はない。
侵略や戦争は、他民族の文化や他宗教への不寛容を伴う。
コソボを支配していたセルビアの警察は、コソボのアルバニア人がアルバニア語を話していただけで射殺した。
コソボのアルバニア人(イスラム教徒)は、こうしてセルビアから民族浄化に遭ったが、NATOがセルビア(キリスト教徒)を駆逐すると、セルビア正教の教会を焼き討ちにした。
逆エスニック・クレンジング(民族浄化)の嵐も吹き荒れた。アルバニア人がセルビア人への虐殺を繰り広げたのである。
イスラム教徒とキリスト教徒のどちらかが悪いと言っているのではない。互いが加害者であり被害者なのである。
バーミヤンの仏教遺跡を爆破したタリバンは他民族を圧迫した。
一方でタジク人、ハザラ人、ウズベキスタン人という他民族もタリバンを認めず、激しく敵対する。
たまたまタリバン(パシュトゥン人)がアフガニスタンの最大民族であり、パキスタンの後ろ盾もあって、現在、権力を掌握しているに過ぎない。
寛容さがあれば他民族の命や暮らしそして文化を尊重するはずだ。ないがしろにした時、侵略と戦争が生まれる。
~終わり~
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