キーウのシンボルともいえる独立広場(マイダン)の一角に、ウクライナ国旗の小旗が数えきれないほど並ぶ。
小旗は今回の戦争で亡くなった人のウクライナ版卒塔婆だろうか。死者の名前と命を落としたとみられる場所、死亡が確認された日付が書き込まれている。
大ぶりの標柱(写真下段)には「プーチンに殺された」とある。
田中が訪れた時、フェルトペンで小旗に文字を書き込む女性がいた。女性の名はユーリアさん(30代)。
政府軍兵士だった彼女のフィアンセはドンバスの前線で3月に戦死した。開戦して間もない頃である。
戦争前は炭鉱夫だったフィアンセの遺体はまだ見つかっていない。
死者を弔う小旗が並ぶ一角ができていることに気づいたのは3月末頃~4月初旬だった。
小旗はあっという間に増えた。この先どこまで増えるのだろうか。
はっきりしているのは小旗の数だけ悲しみがある、プーチンへの憤怒がある、ということだ。
ウクライナ軍総司令官によるとウクライナ軍将兵の死者は約9千人(8月22日現在)。国連人権事務所(OHCHR)によると民間人の死者は5千人以上(7月末現在)。
マリウポリだけでも民間人2万人以上が死亡していることが明らかになっており、国連の数字はアテにならない。
~終わり~