教会と戦車。あまりにも対照的とお思いになる方がほとんどだろう。
2014年、親露派傀儡のヤヌコビッチ政権を市民がクーデターで倒そうとしたマイダンの市街戦で、治安部隊に追われた若者たちが逃げ込んだのが、ここミハイルヴィスカ教会だった。
国民が熱望していたEU入りをヤヌコビッチ大統領(当時)がドタキャンしたことが人々の怒りに火を着けたのである。
ロシアがクリミアに侵攻した2014年以来、ウクライナの劣勢が続いた。だがこの夏以降の大攻勢で失地を回復し、一方のロシア軍は潰走に潰走を重ねる。
今回の戦争の起源ともいえるマイダンの市街戦で親露傀儡政権の治安部隊に追われた市民を匿ったミハイルヴィスカ教会。教会の壁面にはドンバス戦争(2014年)以降、命を落とした人々の遺影が40メートル以上にわたって連なる。
その教会の面前にウクラナイナ軍が鹵獲したロシア軍の戦車が陳列されているのだ。大虐殺のあったブチャで鹵獲された戦車もあり、みじめな姿をさらす。因縁だろうか。
現下の事態を象徴しているようである。
~終わり~
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読者の皆様
ロシア軍が楯にとるザポリージャ原発は、外部電源喪失が常態化し危険な状態が続いています。
人類にとって最悪の事態が発生した場合、それを見届けるために田中はウクライナ取材を続けておりますが、莫大な経費を要しています。
背負うことが不可能なほどの借金となりました。
ご支援何とぞ御願い申し上げるしだいです。