【都議選】政治に見放された人々が五十嵐えりに託したものは

闇夜を照らす一筋の灯りとなってほしい。生活困窮者はそう願って五十嵐に一票を投じたはずだ。=6月29日、武蔵野市内 撮影:田中龍作=

 フリージャーナリストは国会議員にとって有難い存在ではない。その議員にとっていい事を書いても発信力はたかが知れている。

 スキャンダルになると、フリージャーナリストの記事とはいえマスコミが追う。ツイッターで炎上する。

 フリーランスとは全くもって厄介なのだ。某国会議員の事務所で「田中さん。帰ってほしいんだけど」と秘書から露骨に言われたこともある。自公ではない。立憲の前身である民主党の秘書から、である。

 参院議員の秘書だった五十嵐えりは、フリーランスといえどもぞんざいに扱ったりしなかった。

 田中は五十嵐によく取材の便宜を図ってもらった。「お急ぎの時は私の携帯の方にご連絡下さい」といって電話番号を教えてくれたこともある。

 「えっ!うら若き女性が田中のようなオッサンに携帯番号を教えてもいいのだろうか?」。五十嵐の度胸の良さに驚いたものだ。

 非正規労働で辛酸を舐めてきた五十嵐は、メディア業界の最底辺にいるフリーランスの苦労が分かるのだろう。

演説が終わると、ごく自然に「イガラシコール」が起きた。=7月3日、武蔵野市内 撮影:田中龍作=

 「自己責任で切り捨てる政治は間違っている。苦しんでいる人を見捨てることは、若い頃の私を見捨てることになるから」。

 五十嵐は街頭演説で叫んでいた。社会問題を自分の問題に引き付けて話せる政治家はごく稀だ。

 立ち止まって演説に耳を傾けていた有権者に聞いた。「五十嵐さんを支持する理由は何ですか?」と。

 ある中高年男性は「この人の経歴がね」と答え、別の男性は「こんな経験をした人はいないよ」と感心したように話した。

 期日前投票で五十嵐に入れたという男子学生は、「政治を変えてほしい」。

 「小さな声を届ける」。口で言うのは簡単だが、票につながらない声は政治に届かない。ほとんどの政治家はこのケースだ。

 法律は事後でしか人を救えないが、政治は事前に人を救える。弁護士の五十嵐が政治家を志した理由である。

「困っている人を減らしたい」を政治信条とする五十嵐。

 誰がどう困っているのか。手に取るように分かる五十嵐が、都政で困窮者を救済することになる。

     (文中敬称略)

        ~終わり~

    ◇
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