【都議選】政治が目を向けなければならない現実を誰よりも知る 社会のどん底経験した五十嵐えり 

五十嵐は最終演説を終えるとすぐに支持者のもとに駆け寄った。=3日午後8時01分、吉祥寺駅前 撮影:田中龍作=

 「命をないがしろにする政策が進められている。これでいいのでしょうか?」社会の辛酸を舐めてきた37歳の候補者は、この日も血を吐くようにして有権者に訴えていた。

 五十嵐えり(弁護士・立憲)。武蔵野市選挙区で、自民公認の土屋ゆう子らと1議席を争う。親の七光りを地で行く土屋とは、真逆の人生を歩んできた。  

 五十嵐は若い頃幾度も自殺を考えたことがある。

 飲食店従業員、トラック運転手、牛乳配達などをこなしたが、中卒の身では生きていくだけの収入が得られなかった。

 「自分なんて生きていてもしょうがない」「道路に飛び込もうとしたが、親の顔が目に浮かんで死ねなかった」。

酒の匂いがする有権者のオヤジギャグを五十嵐は上手に受け止めていた。柔軟さは苦労の中で培ったものなのだろうか。=1日、武蔵野市内 撮影:田中龍作=

 「中卒で知識がないと社会に殺されると思った。生きるためには学びが必要」。五十嵐はこう言って、教育の拡充を政策に掲げる。

 「株価は上がったけど、生活保護は増えている。皆さんの暮らしはよくなりましたか?」。

 「PCR検査を役所で2~3千円でできるようにする、と言っても、2千円が払えない家庭だってあるんです」。

 社会のどん底を知る五十嵐の訴えは、貧困層や貧困の実態を知る人々の胸にズシンと響く。

 多くの政治家が口先だけで「命と暮らしを守る」「一人も取り残さない」と言う。ちっとも人々の心に響かない。

 頭で理解できても、貧困の苦しさと恐怖は経験した身でないことには分からない。五十嵐の言葉が聞く者の心を揺さぶるのは、壮絶な経験があるからだ。

=1日、武蔵野市内 撮影:田中龍作=

 足を止め最後まで五十嵐の演説に耳を傾ける有権者は少なくない。

 50代の男性はすでに期日前投票で五十嵐に一票を投じているにもかかわらず、演説に聞き入っていた。

 「友達の飲食店はコロナで潰れた。別の友人は家賃が払えずにホームレスになった」と悔しがり、「こういう人が議員にならなきゃダメだ」と話した。

  五十嵐えりは、政治が目を向けなければならない現実を、誰よりも知る候補者だ。

   (文中敬称略)

    ~終わり~

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