「井の頭公園でのパブリックビューイングを中止するよう」松下玲子市長が東京都に申し入れた武蔵野市。
衆院選挙では東京18区にあたり、菅直人(立憲)と土屋正忠(自民)が激しく争ってきた。
来月4日投開票の都議会議員選挙に武蔵野市選挙区(定員1名)に自民から立候補しているのは、土屋正忠の娘ゆう子(1970年生まれ)だ。
「本日(27日)正午から土屋ゆう子の街頭演説が吉祥寺駅前にてございます」。ウグイス嬢ならぬカラスを務めていたのは、父正忠だった。衆院議員を3期、地元武蔵野市長を6期務めた。
マイクを握ったゆう子は冒頭から「政治を志した原点は父であります」と切り出した。「中1の時、武蔵野市長となり、労働組合(市職労)と闘ってきた」と続けた。
父正忠を政治の師と呼んで憚らない。会社勤めを経て正忠の秘書となった。よく言って王道を歩んだ。悪く言えば親の七光りだ。
きょうの街頭演説には加藤勝信官房長官が応援に駆け付けた。
官房長官に直接要請したのはこの地区の支部長である長島昭久議員だが、父親の威光なくして果たして官房長官が足を運んだだろうか。官房長官は地方議会選の一候補者から見れば雲上人だ。
《 五十嵐「自己責任で切り捨てる政治は間違っている」 》
「地盤も看板もない普通の家庭に生まれた。普通の人が政治を担うべき」と言って選挙に初挑戦したのが五十嵐えり(立憲・1984年生まれ)だ。
中学校でイジメに遭い高校には行かず、飲食店従業員やトラック運転手を経験した。非情な社会にあって法律が身を守ることを知り、一念発起、夜間大学に通い、弁護士となった。
土屋ゆう子とは真逆の人生を歩んできたのである。社会の辛酸をなめた五十嵐の街頭演説はディープだ。
「(友人は)3人の子供を養うためには夜の店で働くしかなかった。お金(収入)が一番いいから。生きるためには仕方がない選択をすることがある。
努力すれば報われるというのは環境が揃っている人にしか通用しない言葉。
みんな必死に生きている。自己責任で切り捨てる政治は間違っている。そこに思いが馳せられる、そんな政治にしたい・・・」(五十嵐演説ここまで)
スガ首相が唱えていた「自助→共助→公助」は絵に描いた餅にもならなかった。コロナ禍で仕事もアルバイトもなくなり、炊き出しや食料配布に長蛇の列ができる。授業料が払えなくなって大学を辞めざるを得なくなった19歳の元学生が、食料を求めて並んだ。
自己責任ではどうにもならない社会を変えようと立ち上がった五十嵐。
ごく一握りの特権層だけが潤うオリンピックの強行を正当化する官房長官が応援に入る土屋。
都議選武蔵野市選挙区は、定数1議席を上級国民と庶民とで争う。(文中敬称略)
~終わり~
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