新聞テレビが総務省接待疑惑を叩けない理由


スガ首相。総務省を介したテレビ局の押さえ方を知悉する。=撮影:取材班=

 スガ首相の長男による総務省幹部接待疑惑はほぼ完全に詰んだ。長男正剛氏が許認可をめぐって役人に働きかける音声まで出てきたからだ。

 公務員倫理規定違反なんてものじゃない。検察がまともであれば、贈収賄で捜査に乗り出せる。
 
 にもかかわらずテレビ局の報道はあまりに大人しい。日頃、有名人のスキャンダルであれば、ピー音を入れたりして賑やかに報じるのだが。

 テレビ局が総務省を叩けない最大の理由は、結果として、電波の使用料を超格安にしてくれているからだ。

 総務省は地上波の新規参入を阻んでくれている。有難い保護者なのである。当然、見返りはあるが。

 新規参入を許せば電波はオークションとなる。大蔵(現・財務)官僚出身の高橋洋一氏は、オークションとなれば、電波使用料は2千億~3千億は下らない、と見る。

 テレビ局は100分の1に近い数十分の1の値段で電波を使用しているのだ。総務省による規制のおかげで暴利が貪れるのである。

総務省。国交省を上回る巨大利権官庁との評判もある。=19日、霞ヶ関 撮影:田中龍作=

 テレビ局の暴利をさらに貪る新聞社

 新聞はとりあえず接待疑惑のアウトラインをおさえているが、「国会答弁ベース」「文春報道ベース」に留まっている。独自取材で報道するのが恐いのだろう。

 新聞社もテレビ局同様、総務省による規制に守られているからだ。

 新聞社によるテレビ局の所有はクロスオーナーシップと呼ばれる。

 欧米の場合クロスオーナーシップは法律で禁じられている。情報の独占になるからだ。先進国でクロスオーナーシップが認められているのは日本だけだ。

 テレビ局が貪る暴利をさらに貪るのが新聞社である。

 日本最大の記者クラブが総務省にあり、記者さんたちは、電波がオークションにかけられないよう、クロスオーナーシップが禁じられないよう、懸命に見張っているのである。

 新聞テレビが、スガ首相の長男による総務省幹部接待疑惑を追及できるわけがないのだ。それを最もよく知っているのは、元総務大臣と総務官僚だ。

 「オークション掛けましょうか?」の一言で、新聞社、テレビ局の幹部は震えあがるだろう。

   ~終わり~
 
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