【ナゴルノカラバフ報告】撃ち落とせないロシア機 「飛べない空港」から飛行機が飛ぶ日

ステパノケルト空港。管制塔のてっぺんにはロシア国旗が翻る。=撮影:田中龍作=

 田園風景が続く州都近郊に忽然と姿を現すステパノケルト空港。国家承認を希求するナゴルノカラバフの象徴的存在だ。

 2008年に新ターミナルが完成して以来、一度も飛行機は発着していない。「飛んだら撃ち落とす」とアゼルバイジャンから警告されているためだ。

 ところが今回の戦争で「飛べない空港」が空に向かって動き始めた。

 モスクワとステパノケルト間の空路開設が検討されているのだ。飛ぶのはロシア機。アゼルバイジャンとて簡単には撃ち落せないだろう。

 管制塔にロシア国旗が立つ空港のすぐ傍では、大規模施設の建設が進む。ロシア軍のものと見られる大型軍用トラックが連なり、クレーン車やパワーショベルが作動していた。

右端・黄色のショベルカーはひっきりなしに動いていた。大がかりな建設工事が進んでいることをうかがわせた。=ステパノケルト空港・写真左奥に管制塔 撮影:田中龍作=

 空港をコントロール下に置けば、その地域を支配下に置くことになる。

 2014年3月、ロシアがウクライナからクリミア半島を奪取した時の光景がまざまざと蘇る。

 ロシアは州都のシンフェロポリ空港を押さえると、ウクライナ本国やトルコとの便をすべて廃止した。飛んでいるのはモスクワやサンクトぺテルブルグなどロシアの主要都市だけとなった。来る時はウクライナのキエフから欧米のメディアとともにシンフェロポリに入ったのにもかかわらず。

 空港まで行って発着掲示板を視認した時「ロシア経由でないことには俺は帰れなくなるのか」と焦ったものだった。

ロシア軍はクリミア半島を陥れると同時に空港を押さえた。=2014年3月、シンフェロポリ空港 撮影:田中龍作=

 ナゴルノカラバフは南コーカサスのゴラン高原だ。領土的野望に執念を見せるプーチンが戦略要衝を放置しておくはずがない。

 ナゴルノカラバフの地元記者は「近く(モスクワとの空路開設の)発表がある」と期待を寄せる。

    ~終わり~

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