東京のバーニー・サンダースが都知事選挙に立つ。
6月18日告示、7月5日投票の東京都知事選挙は、珍しく任期満了に伴う選挙となる。東京都がいかにゴタゴタ続きであるかを物語る。都民は二の次にされてきた。
「宇都宮さんが知事だったら、こんなことにはならなかった」。築地(現豊洲)の仲卸関係者が天を仰ぐように言ったのを思い出す。
その宇都宮健児氏(弁護士73歳)が、きょう、都庁記者クラブで立候補表明の記者会見を持った。
氏は都知事選の大方針を次のようなスローガンで表す―
「都民の生存権がかかった選挙である。都民一人ひとりの雇用を守る、営業を守る、生活を守る、命を守る」
都民に犠牲を強いるオリンピックについては「早い段階で中止すべき。大変な予算を要する。そんな予算があれば市民を救える」と語る。
野党が担ぎたがる人気候補や小池知事と、宇都宮氏の最大の違いは、弱者への目線だ。
具体的な政策としては「学校給食の完全無償化」「非正規労働者を減らし正規労働者を増やす」「都立・公社病院の独立行政法人化を中止する」など。
リーマンショック(2008年)の際、日比谷公園に出現した年越し派遣村を思い出す。
田中は現場で取材していたが、宇都宮氏は名誉村長として、職と住まいを同時に失った非正規労働者の救済にあたった。凍死せずに、自殺せずに済んだ労働者は数えきれないほどいた。
2016年、舛添知事(当時)がささいなスキャンダルを理由にメディアスクラムでその座を追われた。
宇都宮氏は舛添知事の辞任に伴う都知事選にも立つべく準備を進めていたが、民進党(現・立憲)幹部から事実上引き摺り降ろされた。
彼らが野党共闘として担いだ候補は、女性スキャンダルが発覚したこともあり惨敗した。
人気者を担げば都知事選挙は何とかなるという発想は幻想に過ぎない。都民は幾度もそれを見てきた。
コロナ禍でズタズタになった社会をどう建て直すのか。深刻化する一方の貧困。誰のために政治はあるのか。
地に足の着いた政策を実行しそうな候補者が、きょう、正式に名乗りをあげた。
~終わり~
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