中選挙区制だった頃、自民党の勉強会は新派閥の立ち上げにつながった。派閥は党内党と言われるほど政治力があった。
与野党の反体制勢力がきょう、国会内で開かれた勉強会に参加した。顔ぶれは—
立憲を離党した山尾志桜里議員。昨夏の参院選で旋風を巻き起こしたれいわ新選組の山本太郎代表。連合に支援されているのにもかかわらず消費税減税を唱える玉木雄一郎・国民民主党代表。
自民党からは中谷元・元防衛大臣と齋藤健・元農水副大臣。齋藤氏は安倍独裁に抗う石破派。中谷氏は谷垣グループだが、総裁選では石破氏を支持した。
与野党とも官邸、党内執行部、巨大労働組合の圧力にもめげずに物申す政治家たちである。
政治部の記者さんたちや週刊誌は色めきたった。山尾、玉木、山本太郎のスリーショットを狙うカメラマンは、やや後ろにいる山本に前へ出るよう促した。
勉強会のテーマは「国際人道法違反を裁けない日本の法体系を考える」。
現在、自衛隊が海外で戦争犯罪などを犯しても、日本で裁く法律はない。それを問題視し、裁ける法律を作ろうというのが勉強会の趣旨だ。
安倍首相の肝煎りで憲法解釈をねじ曲げて実現した集団的自衛権の行使だが、とんでもない法律の不備があるのだ。勉強会のテーマも反安倍なのである。
勉強会が終了すると記者団が山尾議員や山本代表らを囲んだ。
山本代表は山尾氏や玉木氏を評価した―
「今の野党の状況はかなり閉塞感がひどい。そう考えるならば(山尾、玉木両氏は)スター選手。胆力がある。とにかく一歩でも前に進める努力を日々重ねていらっしゃる方々だ。信頼できる政治家だと思う」。
玉木代表は「右も左もなくていいね」とコメントした。
勉強会の発足を一番喜んだのは山尾議員だった—
「左右とか立場関係なくやらなきゃいけないテーマがあって、国民国家のために必要と思ったら立場を越えてリスクもとってやろう。共通項がある人とはいくらでもやって行きたい」。
「法を作るという作業を政党とか役所とか政治家だけに独占させないで、外にオープンにして作って行く取り組みは大事だと思いますし、今日その第一ステップとしてはできたと思う」
「国対政治が永田町に占める大きさみたいなものが小さくなっていくかなと思う」
与党も野党もない。国対も存在が小さくなる。既成の秩序にあぐらをかいてきた自民と立憲の幹部たちは、内心穏やかでないはずだ。
~終わり~
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