究極の雇用破壊が訪れようとしている―
タクシーの運転手たちがきょう7日、「白タクに反対する」請願を国会にかけた。
話は今年3月7日に遡る。官邸で「第24回未来投資会議」なる謀議が開催された。
出席者は関係閣僚、竹中平蔵・東洋大学教授を始め、経済三団体のトップ、新経連元理事、日産自動車取締役から東大総長まで、そうそうたる顔ぶれだった。
もちろん、一般国民や労働者の代表は招かれていない。
いつものように利益を同じくする人たちだけが集まって、「儲け話」をし、「規制緩和」を進めようということである。犠牲になるのは労働者や庶民だ。
タクシー業界関係者によれば、白タクを解禁するとまず儲かるのはIT業界。
白タクの利用料金は配車アプリを運営する会社に入る仕組みだ。ドライバーは車と車の運行にかかる経費を負担しなければならない。報酬は安く叩かれる。
アメリカの諸都市で白タク・ドライバーたちのデモがあったほどだ。
従来のタクシー会社が潰れると、雇用形態のある運転手はいなくなる。
香港で白タクから声を掛けられたが、身元が保証されないドライバーの車に乗るのはさすがに怖かった。
スマホをいじれない年寄り、クレジットカードを持たない層は、車を呼ぶことができない。ますます取り残されるのだ。
白タクの行き着く先はタクシーの自動運転化だ。
現行のタクシーは無人運転車に置き換わる。儲かるのは、自動車メーカーとIT産業だ。
監視社会は格段に進む。車内に備え付けられたカメラが顔認証システムにつながっていて、いつ、誰が、どこで乗車して、どこで降車したかが記録されるのだ。
竹中先生が旗を振る未来投資会議では、3月、事務方が「法改正が必要なものについては、次期通常国会への提出を目指す」と説明した。今国会 での法改正を目指すということだ。
雇用もプライバシーもなくなる社会が目の前まで来ている。
~終わり~
◇
不安定な雇用のために外国ではデモまで起きたのに、なぜ日本は規制緩和を進めようとしているのでしょうか。田中龍作は派遣切り(2008年)などが起きる前から労働問題の取材を続けています。
取材活動は読者のご支援によって維持されています。
↓