沖縄県の玉城デニー知事が11日からの訪米を前にきょう、都内で記者会見した。
知事選出馬前に「日本とアメリカ、2つの国にルーツを持つ自分が知事になって、アメリカにも半分は言う事を聞いてもらう」と田中龍作ジャーナルの単独インタビューに答えていたことが現実になったのだ。
会場の外国特派員協会は内外のメディアで満員となった。デニー知事はまず、日米安保を是認しているとし、米軍基地の即時撤退を主張しているわけではないと強調した。
外国人記者の質問は、北東アジア情勢と基地問題に集中した。
香港メディア「翁長知事は最後の会見で、『辺野古の新基地建設は20年も前の計画。(20年前の)抑止力の対象は中国や北朝鮮だ』と言っていたが、沖縄の米軍基地は現時点で抑止力として必要か?」
デニー知事「南北首脳会談、米朝首脳会談、先日の日中首脳会談は平和を築くための会談と捉えている。国防・外交は国の専権事項だが、これ以上米軍基地の負担を負わされることなく、アジア全体の平和のため沖縄からどうアプローチできるのか考えていきたい」。
ドイツ人記者「ワシントンの方から沖縄と妥協する方法などが聞こえてくる。ところが安倍首相は沖縄と妥協しない。知事はアメリカと話す方がやりやすいか?」
デニー知事「アメリカと沖縄の問題ではない。あくまで日本とアメリカの間にある基地問題だ。我々(沖縄県)にも責任があり、あなた方アメリカにも責任がある。沖縄は日米政府に申し上げている」。
デニー知事は注意深く言葉を選んだ。米軍基地問題は「日本政府とアメリカの問題」であるとし、訪米が政府のアタマ越しではないことを強調した。「今度はアメリカ国民の皆さんに直に訴えたい」。
ニューヨーク大学で講演するほか、議員との面会やメディア出演が訪米の主な目的だ。米メディアの記者によれば、知事就任直後のインタビューが大反響を呼んだので、本社に取り上げてもらうため「こういう人物が渡米する」と“デニー推し”しているという。
「父は海兵隊、母はうちなんちゅ」のデニー知事のプロフィールがこういう時に生きてくる。海外の大メディアが沖縄特集を組むようになったら、米国世論を動かし「辺野古が唯一」の流れが大きく変わる可能性もあるのだ。
会見終了後、田中はデニー知事を直撃した。
「昨年、アメリカのペリー元国防長官が非公式に沖縄を訪問した際、翁長知事に『朝鮮半島の緊張がなくなれば、沖縄から米軍基地はなくなるよ』と言った。それをどう思いますか?」
デニー知事は我が意を得たとばかり、間髪入れずこう言った。「そうですよ。その通りです。それを僕は実現させようと思います」。
~終わり~