今治市郊外ののどかな丘陵地帯に忽然と現れる鉄筋むき出しのビル群。来年4月の開学を目指して建設が急ピッチで進む加計学園獣医学部の校舎だ。
文科省の大学設置認可はまだである。スキャンダルまみれの加計学園に果たして認可が下りるのだろうか? 今治市民の不安は尽きない。
7月28日、今治市内の公民館で開かれた市議会報告会で、主婦が特区特別委員会・委員長の寺井政博市議に質問した ―
「認可が下りていないのに、なんで工事をするんですか? それが不思議なんですよね」
寺井委員長が答えた ―
「(申請を)受理した段階で大学ってのは設備建設やいろんな準備にかかって参ります。当然、教授陣を集めたり、学生募集要項も作ったり・・・
(中略)申請を受理した段階で大学設立に要する諸要件が現時点では整っておるな、ということで受理をするわけです」。
申請が受理された段階(※)で校舎の建設に事実上着工し、教授集めを始めるというのだ。(※3月24日、今治市議会で受理の報告)
民進党がきょう衆院会館に文科省と内閣府の官僚を呼び、加計疑惑を追及した。上記の問題についても官僚から事情を聴いた。
疑惑追及チーム座長の桜井充議員が東北医科薬科大学(2016年4月開学)の例を挙げ「文科省の設置認可が下りる前に教授集めなどをしてはならない(はずだが)」と質した。
文科省は「受理で要件が整っているということを認めるということではない」と答えた。
文科省は今治市議会・特区委員長の見解を否定したのである。
篠原孝議員が「特区と大学設置審の関係は?」と聞いた。特区に指定されれば文科省は追随せざるを得ないのではないか、という意味だ。
文科省は「最終的に認可を下すのは文科大臣」と力なげに答えた。今治市は内閣府の指導を受けながら加計学園の誘致を進めてきた。
菅良二市長自らが去年10月ごろから「安倍総理が全部やってくれているので、地元が口をはさむ余地はない」とまで言っていたほどだ。
市議会議員や市職員が内閣府から「文科省はこうだよ」と言われれば「はい、わかりました」となる。
内閣府の言うままに「アベ友学園」を開学させれば、私学助成金という税金が果てしなく注ぎ込まれることになる。
「日本はアメリカなどと比べると、いちばん獣医師が余っている。皆さんは正しい行政をしてきたんだ。それを国家戦略特区が歪めている」。元農水官僚の篠原孝議員が言い切った。
〜終わり~
◇
郵便局まで行くのが難しい方々。海外在住の皆様。『田中龍作ジャーナル』はクレジットカードによるご支援も可能になりました…https://note.mu/tanakaryusaku を御利用下さい。