きょう告示の東京都議会議員選挙で最も注目を浴びる中央区(定数1)。争点の豊洲移転問題は、東京都政の闇であり、選挙結果は今後の国政を占う。
テレビでもおなじみの建築エコノミストの森山たかし候補(無所属)、小池百合子都知事が全面的に肩入れする西郷あゆみ候補(都民ファースト)、石島ひでき候補(自民)ら有力候補が、たった一つの当選議席を争う。
「市場を豊洲に移転した後、5年後に一部の市場機能を築地に返す」…小池知事は実現不可能な子供騙しのウソを選挙の告示直前に打ち出した。
豊洲への移転表明は選挙協力をする公明党への配慮でもある。一方で「築地を残す」には、自公との違いを示すことで無党派層を取り込もうという意図が見える。
森友・加計疑惑で苦戦する自民党が大敗し、都民ファーストが大勝すれば、小池ゆり子氏は国政に足場を築く。そうなれば5年後には都政にはいないだろう。「市場の一部を築地に戻す」などという政策は水の泡と消える。当人もそれを承知のうえだろう。
「築地に留まって再整備を」と訴えるのは、森山たかし候補(無所属)だ。共産党は独自候補の擁立を見送って森山候補を応援する。
森山氏の強い味方は、築地の仲卸業者たちだ。前々回(07年)の選挙では、自民党が独占してきた選挙区(定数1)に、移転反対の民主党候補を当選させる原動力となった。
きょう午前9時、森山陣営は築地の守護神である波除神社で出陣式を行った。
「森山さん、頼むぞ!」。ターレー(卸荷を運搬する1人乗りの車両)に乗った業者が、通りがかりに声をかけた。赤銅色に日焼けして、頭にタオルを巻いた根っからの河岸の若者だ。
森山候補が第一声をあげた。「新国立競技場、いろんなメディアで発言し、みんなが気づいた。白紙撤回になりましたよね。それ以上の大変なことになっているのが築地・豊洲問題」。
応援に駆けつけた人類学者の中沢新一氏は、危機感をにじませながら訴えた。「豊洲にいったん移転したらもう戻って来れない。小池さん5年後に都知事をやっているか?オリンピックが終わったら経済が下降線になる。バスターミナルにしちゃったら森元総理と同じ。都知事の不可解な意図を皆、見抜いていると思う」。
築地は文化人類学者をも惹きつける「ワンダーランド」なのである。生き物のように場外と場内が一つとなり、大卸・仲卸・買い出し人が三位一体となって最高の食文化を作り出している。
都議選中央区は「日本の食文化」が生きるか死ぬかを問う選挙区となっている。
~終わり~
◇
『田中龍作ジャーナル』は読者が支えるメディアです。国家を私物化した安倍首相の権力犯罪を追及させて下さい… https://tanakaryusaku.jp/donation
◇
【写真集】「ソウル・韓国市民はこうして大統領を引きずり降ろした」「沖縄・高江の原生林破壊」「パレスチナ自治区ガザの虐殺」…。https://note.mu/tanakaryusaku から入って下さい。
◇
郵便局まで行くのが難しい方々。海外在住の皆様。『田中龍作ジャーナル』はクレジットカードによるご支援も可能になりました…https://note.mu/tanakaryusaku を御利用下さい。
↓
タイトル【●●写真集】をクリック → 下にスクロール → [クリエーターをサポート]をクリック
◇
【求人】取材助手の一人が英国に留学したため、欠員が出ました。『田中龍作ジャーナル』では記者志望の学生を募集します。現場でメモやインタビューを録ってもらいます。
時給1500円(当日払い)交通費支給。就職実績:全国紙、大手通信社、出版社。詳しくは→ tanakaryusaku@gmail.com