権力による原生林の大規模違法伐採を克明に記録していたカメラマンは、沖縄防衛局職員に触ってもいないのに、公務執行妨害と傷害の容疑で逮捕されていたことが分かった。
昨年8月25日朝、ヘリパッド建設反対運動の拠点である通称「N1裏テント」を沖縄防衛局と機動隊が急襲した。
防衛局職員約10人がスクラムを組んでテントの入り口を塞いだため、住民や市民と揉み合いになった。
この一件で沖縄平和運動センターの山城博治議長ら6人が公務執行妨害、傷害などの容疑で逮捕された。カメラマンの島崎ろでぃ(本名:島崎巨章・44歳)も6人の中にいた。
防衛局職員の腕や肩をつかんだ、というのが逮捕容疑だった。
ところが島崎は「ボクは(防衛局職員に)触ってもいない」と明言する。
取り調べの際、防衛局撮影のビデオ映像を見せられた。島崎の斜め前から撮影した映像は、島崎が職員に詰め寄っているところを写していた。
しかし「触った」場面は1カットもなかった。
田中はこの現場にいたが、島崎は防衛局職員に1ミリたりとも触っていなかった。余談だが、田中も警察の逮捕リストに上がっている、との情報もあった。
島崎が一貫して容疑を否認したため、捜査当局は得意の自白調書を作成できなかった。結果、検察は島崎を起訴できなかった。
8月25日の一件では島崎はじめ3人が不起訴となっている。いずれも一貫して容疑を否認したため、捜査当局が自白調書を作成できなかったのである。
もちろん物証もない。裁判所が安倍政権の追認機関に堕したとはいえ、自白調書がなければ、検察は公判を維持できない。
権力にとって不都合な人物。警察が思い描くジグソーパズルに当てはまる人物。一件は彼らを狙い撃ちにした逮捕劇だった。
島崎が60日間にわたって撮影した原生林違法伐採の写真数万カットを収めたハードディスクは家宅捜索で押収された。写真家の命であるカメラも。
警察は取材費、カンパをさかのぼって、安倍官邸に不都合な人物や組織まで捜査の手を伸ばしたかったようだ。
共謀罪が施行されれば、組織的威力業務妨害罪の共謀ということになる。捜査の手は安倍官邸に不都合な人物や組織を思い通りにつかむ。
警察は2016年8月25日、共謀罪適用の予行演習をした、と思うのは穿ち過ぎだろうか。(敬称略)
~終わり~
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