議案は市議会の会期初日に先議となった。常軌を逸してまで急いで可決しなければならない事情があったからだ。
移転登記して今月20日には工事を着工し、来年2月下旬には竣工、4月に必ず開学させなければ国家戦略特区から外される・・・期日を逆算して議会日程が組まれたのである。
午後4時過ぎ、議長の声が響いた。「起立多数と認めます。よって原案の通り可決されました」。
36億7,500万円の市有地が加計学園・岡山理科大学(獣医学部など)に譲渡されることが決まった瞬間だ。加計学園の加計孝太郎理事長は安倍首相のお友だち中のお友だちである。
今治市議会はこのほか、校舎をはじめキャンパスの建設費の半分(=64億円)を負担することも決めた。学校側にとって至れり尽くせり・・・市民の血税が大量に投入される議題は、あっけないくらい簡単に承認されてしまった。
今日の本会議ではさすがに2名の議員が質問に立った。2議員からは決定の拙速さや、事業の継続性などに対する疑問が呈された。
近藤博議員(自民党系反市長派)は「スケジュールのみが先走りしている。財政が悪い中で大変不安を感じる」と述べた。
市側の説明は楽観的過ぎて失笑を禁じえなかった。「地域振興に役立つ。消費が旺盛な若年層が来る。国際学会が開かれる・・・・」。
近藤議員が続けた。「大学が資金調達のため(土地を)担保設定することを認めるか?」
企画財政部長の答弁には思わず耳を疑った。「安定的資金調達のため担保物件としてご活用頂く」。
どうぞ抵当に入れて下さいとは、なんと気前がよいことか。お人よしにもほどがある。譲渡である以上、大学が破たんしても、市には何も帰ってこないのである。
菅良二市長は「大学誘致は40年来の悲願。人口増の起爆剤になる」と無償譲渡の効果を強調した。日本獣医師会が反対する獣医学部新設は、国がムリヤリ主導すべきことなのだろうか。
官邸主導のトップダウンで決まる「国家戦略特区」下での大学誘致。民間資本を活用するかのように見えてその実は、自治体から土地とカネをアベ友学校が巻き上げる。
特区決定から開学までわずか1~2年と急がせるのは、自治体にも市民にも考える隙を与えないためだろうか。
有識者会議のメンバーにあの竹中平蔵先生がいることも、アベ友以外に留意すべき点かもしれない。
~終わり~
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