安保法制のキャスティングボートを握る維新の党。衆院院内できょう開かれた松野頼久代表の記者会見に出席した。
記者団からの質問は当然のごとく安保法制に集中した。記者クラブメディアは総じて「維新は独自案(対案)をいつ出すのか?」と催促した。催促には理由がある―
自民党の高村正彦副総裁は前日、「(維新は)できるだけ早く(対案を)まとめ国会提出してほしい」と記者団に対して語った。
自公だけで強行に押し切ったことにしたくないため、維新をテーブルにつけるのが狙いだ。
高村副総裁の意向を忖度したのかどうか、定かではないが、記者クラブメディアの質問の多くは明らかに高村氏の発言の趣旨に沿ったものだった。
産経新聞は露骨だった。「『身を切るような改革』とか成立の見込みのない法案は出してきたのになぜ安保法制は出て来ないのか?」と挑発した。
他社も「大阪の橋下さんは独自案(対案)を出すと言いましたが?」と食い下がった。
松野代表は揺さぶりにも挑発にも動じず、「独自案(対案)は(執行役員会のある)来週火曜日までに(内容を)決める」としたうえで「出すか出さないかはまだ決めていない」と答えた。
安倍首相が執着するホルムズ海峡について、フリーの横田一氏が質問した。松野代表の回答は至って現実的だった―
「ホルムズ海峡に機雷が撒かれて我が国の存立が脅かされる事態って本当にあるんですかねえ?」
「いきなり機雷が次の日にポーンと撒かれるわけじゃない。そこに行くまでに外交のつばぜりあいがあり、外交的要求があり、何年もかかる」。「机上の空論が国会でなされている」。
「そう思いませんか?」。不満げな記者クラブメディアを尻目に松野代表は田中に水を向けた。
田中は「イランがホルムズ海峡に機雷を撒く確率は極めて低い。対イラン外交は日本外交の最大の遺産(外交で相当部分は解決できる)」と相槌を打った。
かつて「世論はマスコミ」と言われていた。そのマスコミは今や官邸にほぼ完ぺきにコントロールされている。
松野代表は「(安保法制に対する)国民世論は反対が多い」と繰り返した。
官邸の意向を汲んだマスコミに世論操作させてはならないのだ。操作されなければ世論の力で戦争法制を廃案に追い込むことも可能だ。
維新の良心派を市民(非マスコミ)の世論で支えて行く必要がある。
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