維新の党は安保法制の独自案をまとめ、きょうの臨時執行役員会で決定した。
独自案は「自衛隊の海外派兵は認めず、武力行使の一体化も回避」として政府案と完璧に一線を画した。
・現行の周辺事態法を維持し、自衛隊を地球の裏側まで派遣させない。
・武器弾薬の提供、戦闘行動のために発進準備中の航空機に対する給油・整備は禁止。
・「存立危機事態」に基づく集団的自衛権行使は認めない。(石油が入って来なくなったなどとしてペルシャ湾まで出かけて機雷の除去にあたるのは認めない、という意味だ)
・(その一方で)「領域警備法」を制定して、わが国の領土・領海・領空を徹底的に守る。
独自案は小林節・慶応大学名誉教授らのリーガルチェックを受けた。小林名誉教授は「現行憲法の範囲内であり合憲だ」と太鼓判を押した。
フリージャーナリスト横田一氏がぶら下がって質問した。小林名誉教授は「維新独自で提出するのもよいが、他の野党と一緒に出した方が政府案の違憲性を国民にアピールできる」とアイデアを出した。
役員会の後、松野頼久代表が記者会見した。代表は「安倍内閣の閣議決定(政府法案)とは一線を画した。(政府法案には)反対」とした。明日3日から独自案の説明に各党を回る。
国会に提出するか、しないのかは来週の役員会で決める、という。松野代表は「心が揺れている」と複雑な表情だ。
というのも、提出すれば「協議に応じた」として自民党に利用されるからだ。高村正彦副総裁は「早く出してほしい」と舌なめずりして催促している。マスコミも高村副総裁の意を汲んで報道するだろう。
田中は上記の事実を踏まえながら「出した時の危険性」について質問した。松野代表は「それもあって(出すか、出さないか)迷ってるんです」と答えた。
与党は15日にも衆院安保特委で採決する方針を固めたもようだ。参院で決まらなくても成立に持ち込める「60日ルール」を視野に入れたスケジュールである。
松野代表は「日本の安全保障が大きく変わる法案を参院で採決しないなんて考えられない」として、与党が60日ルールを適用しそうな場合は「審議拒否も辞さない」と強い口調で語った。
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