安倍政権が今国会で繰り出す二つの法制度改悪が、日本を破滅の淵に追いやろうとしている。
二つとは安保法制と労働法制の改悪だ。憲法9条をかなぐり捨て、日本人を戦争やテロに巻き込む。雇用を破壊し過労死をさらに増やす。まっとうな人々が生きていけなくなるのだ。
安保法制の戦後最大の大転換が今夕、閣議決定された。日本が平和国家ではなくなった歴史的な瞬間だ。
「もはや一国のみで、自国を守ることができない時代だ…」。安倍首相がマスコミを相手に演説をぶっていた頃、首相官邸前では戦争法案に反対する人々が抗議活動を繰り広げていた。
権謀術数を駆使して集団的自衛権を行使できるようにする法改悪に踏み切った安倍首相。官邸前の参加者の間でも批判と怒りが渦巻いていた。
「安倍首相は(ISに処刑された)後藤さんのことを何も説明していない。遺骨奪還にあたっていたヨルダンの弁護士は真実を知っているので入国させなかった(※)」―
町田市から足を運んだ女性(60代)は、安倍首相が人質事件を安保法制の改悪に利用したことを指摘した。
沖縄出身の男性(現在、都内在住=64歳)は「沖縄が先の大戦のように標的になる。もし子供がいたら戦争には行かさない。(戦争反対を訴えて)刑務所に入ったほうがマシ」。言葉を噛みしめるようにして語った。
父親が特攻隊の生き残りだったという女性(60代)は、子供の頃、父親を「なんで戦争に反対しなかったのか?」と問い詰めていた。
父親は「そんなこと(戦争反対)を言える時代じゃなかった」と答えていた。
「今は自由にものが言える時代なのに、メディアも多くの人も黙っている。沈黙している間にファシズムになってしまう。『戦争はイヤだ』と語りかける努力をしたい」。
女性は抗議集会に参加したことの意義を強調した。
「積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献してゆく」。安倍首相の美辞麗句をまともに信じている国民は、どれだけいるだろうか。
「安倍晋三から日本を守れ」「安倍晋三から憲法を守れ」・・・官邸前に響くシュプレヒコールの方が、はるかに国民の声を代弁していた。
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『 IS人質事件、官邸の失態隠し ヨルダン人弁護士の入国拒否 』
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