遮水壁で囲み汚染された地下水をポンプで汲みあげる……福島第一原発のことではない。日本を代表する魚河岸である築地市場の移転先とされている豊洲新市場のことである。
東京ガスの工場があった豊洲の土壌には、環境基準を大幅に上回る猛毒の六価クロム、ベンゼン、シアンなどが含まれていることが明らかになっている。東日本大震災(2011年3月11日)では液状化が起き、汚染水が地上に噴出した。
もともと地下水脈があるうえに、海岸にあって潮が満ちる時には地下水位が上昇することから、汚染水をポンプで汲みあげるのである。こんな所で鮮魚や青物を扱ってよいものか。誰でもクビを傾げるはずだ。
築地の仲卸業者や消費者らがきょう、豊洲への移転に反対するデモをし都心を練り歩いた。
参加者の主婦は「デパート、ホテルの食品偽装は私たち消費者を裏切った。危険な豊洲市場への移転も同じこと。消費者への裏切りです」と憤る。
きょうのデモにはTPPに反対しているメンバーも駆けつけた。築地移転にはTPPも絡む。築地をはじめとする中央卸売市場は、これまで自治体が管理運営してきたが、外資も卸売市場の経営に参入できるように卸売市場法を改悪しようというのである。
外資が参入すれば、仲卸業者が競り落とす従来の仕入れ方法が淘汰され、大きな流通企業からドカッと買い占められるようになる。目利きも何もあったものではない。
日本を売って、汚染土壌の上に立つ新市場で生鮮食料品を扱わせる。この国の為政者は明らかに犯罪者である。
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