飼い主が被災して置き去りにされた犬。人間がいなくなった町で生まれた子猫。被災地をさまよいぼろぼろになって保護された犬猫は、飼い主が写真を見ても分からないほど変わり果てていた――地震、津波、原発事故が重なった東日本大震災では、多くの動物の命が失われた。
こうした被災動物達を保護している個人や団体のいまを伝えようと、東日本大震災支援のボランティア「ふんばろう動物班」が銀座のギャラリーでパネル展を開いた。写真展は25日まで。
「ふんばろう動物班」は、保護団体や個人宅の支援サイトを運営している。その仕組みはこうだ。動物班はネット上でそれぞれの団体が必要としているフードや消耗品をリストアップする。支援者は自分で支援したいと思う団体を選び、リストの中から品物を購入して団体に送る。ネットショッピングの形で一袋数百円のペットフードから送ることができる、顔の見える支援だ。
「現地のシェルターを見て現状を把握し、活動状況や必要な物資を確認している。毎月必要物資を掲載するが、物資が十分集まればその月は終わり。無駄なものは要望しない」と事務局の堀野恵子さん。フードや消耗品を支援することで、保護団体は限られた資金を医療費や保護活動に投入できる。
「震災から2年半経過し、関心も支援も減ってきた。メディアが復興のニュースを流すので、もう大丈夫だろうと考えられているかもしれない。だが保護宅や保護団体はいのちを守るため、もうやめたいという所はない」。
長期的な支援活動になる見通しだが「今後は各団体が自前のブログやSNSを立ち上げるためのサポートなどをし、最終的には自立することが目標」と堀野さんは語る。
支援先は岩手県宮古市、宮城県石巻市、東松島市、美里市、塩竃市、仙台市、福島県いわき市の個人宅や保護団体のほか、原発事故の影響を受けた福島県飯舘村佐須地区、東京の里親探しなどを行うグループの9箇所。
津波被害を受けた東北の太平洋沿岸がほとんどだが、原発事故で全村避難している福島県飯舘村も対象だ。飯舘村では全ての仮設がペット禁止のため自宅の庭先に犬をつないだまま避難している人が多い。住民やボランティアが各家に給餌して回るのだ。
事務局の女性が説明した。「保護動物は元の飼い主に戻すのが一番だが、行方がわからなくなったり、仮設で飼えないという人も多い。地方の事情として番犬や猟犬として飼われていた大型犬が多く、都会で貰い手がつかない」。犬と猫では猫のほうが圧倒的に多いという。
会場にはまた、保護団体の女性が書いた動物のイラストも展示されていた。震災前に遺棄されたり虐待を受けたりした犬や猫が、保護団体でくつろいだ表情を見せたところを描いたものだ。作者の五井美沙さんは津波の犠牲者だった。
石巻で被災し仕事を失ったお母さん達が作ったTシャツや小物も展示即売されていた。収益はお母さん達の収入になるのだそうだ。
人も動物も被災して、まだ立ち直ったとは言いがたい。支える市民側にも長期的視点が求められている。
《文・中山栄子》
ふんばろう動物班のサイト http://wallpaper.fumbaro.org/animal/