エルドアン首相の強権的な政治手法に反感を抱く人々がオキュパイを続けるタクシム広場とゲジ公園(※)は、急峻な丘の上に広がる。
角度のある坂道を降り切るとボスポラス海峡沿いの幹線道路に出るのだが、坂道には10個ものバリケードが築かれている。広場と公園を占拠する人々の“手作り”だ。人々は歩道のタイルを一枚残らずはがし、工事現場の鉄骨を持って来てバリケードをこしらえた。
坂道を降り切った所は警察の機動隊が固める(写真:下段)。エルドアン首相のイスタンブール事務所まで目と鼻の先だからだ。つい数日前にも、事務所近くで反政府グループと機動隊との激しい攻防があった。道路沿いは警察官だらけである。
機動隊の輸送バス(カマボコ)が3台並び、先頭には放水車が配置されていた。「これがタイープ(エルドアン首相)の民主主義さ」。放水車のそばを通る散歩中の男性(60代)が、皮肉たっぷりに語った。
学生は事実上夏休みに入っており、ゲジ公園でテント暮らしを続ける。社会人は仕事を終えてタクシム広場に駆け付ける。丘の上の熱気は冷めることを知らない。「エルドアン憎し」だ。
8日午後(日本時間8日夕)、与党AKP(公正発展党)は緊急会議を開き、「反政府デモ」への対応を協議する。エルドアン政権が強硬手段に出たとしても、公園と広場をオキュパイする人々を排除するのは容易ではないだろう。
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(※)タクシム広場とゲジ公園は隣接する。両方とも反エルドアン派が占拠する。
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