きょうは5月1日、メーデー。大労組による中央メーデーが華々しく催される陰で、非正規労働者のユニオンが労働条件の改善を求める街宣活動を都内各所で繰り広げた。
全労働者の3割強にあたる1,887万人を非正規労働者が占める(総務省3月速報)。彼らの74%は年収200万円以下で暮らす(厚労省2011年発表)。
働く者の環境は悪化する一方である。それに拍車をかけそうなのが、安倍政権による労働法制の緩和だ。
竹中平蔵センセイ率いる産業競争力会議が提唱する「解雇規制の緩和」は、参院選後の秋の国会に向けて本格的に検討されるようだ。
解雇規制が法的に緩和されなくても、肩叩きは猛烈な勢いで進んでいるものとみられる。総務省統計局の労働力調査によれば、非正規労働者は1月には1,823万人だったのが3月には1,878万人。非正規労働者が2ヵ月で65万人も増えたのである。
4~5年前、大労組を訪ねた時、広報担当者は派遣労働者を「ジンパ」などと蔑んでいた。自らの影響力下にある民主党が政権をつかむ勢いだったこともあり、雇用不安などは一片もなかったのだろう。
ところが不景気が一層深刻になり、雇用情勢が悪化してきたところに安倍政権が登場した。解雇規制が緩和されれば、非正規労働者は爆発的に増えるだろう。大労組の組合員といえども簡単にクビを切られる。合法的なので労働争議になりにくい。
第一次安倍内閣で検討されたホワイトカラーエグゼンプションが名称をかえて復活しそうだ。これも労働条件を著しく悪化させる。管理職には残業代を支払わなくても済む制度だ。「名ばかり管理職」にも適用される恐れが十分にある。
きょうの街宣活動でユニオンが上記(解雇規制緩和、ホワイトカラーエグゼンプションに反対)に加えて訴えたのが、「改正労働契約法20条」だ。
「正規社員には危険手当が出るが、非正規には出ない」「正規社員は交通費が出るが、非正規には出ない」…正規と非正規の間には天国と地獄ほどの差がある。
「改正労働契約法20条」は有期契約労働者(非正規)と無期契約労働者(正規社員)の労働条件に相違があってはならないとする法律である。だが企業側は、これを遵守しようなどという姿勢はない。負担増になるからである。同法は空念仏なのである。
全国ユニオンの関口達矢・全国委員は「労基署から監督官が来て“差別がありますから改善して下さい”などと指導してくれたりはしない。空念仏でなくすには組合運動を高めていくしかない」と話す。
解雇規制を緩和すれば非正規は増える。賃金のアップは太陽が西から昇ってもありえない。リストラをすれば企業の内部留保は増え株価はあがる。
アベノミクスが招来するのは、1%の富裕層がさらに豊かになり、99%は底なしの貧困に落とし込まれる社会だ。7月の参院選で自民党の勝利が確実視されるなか、それは近い将来現実のものとなりうる。