福島県の県民健康管理調査で新たに2人の子どもに甲状腺ガンが見つかった。昨年秋に甲状腺ガンと確認された1人の子どもと合わせて3人目だ。この他7人の子どもに甲状腺ガンの疑いがあるという。
昨年の同調査では548人の子どもがB判定(甲状腺に5・1ミリ以上の結節あるいは20・1ミリ以上の嚢胞がある)とされた。
昨年6月成立した「子ども・被災者支援法」をあざ笑うかのようなデータだ。実際、支援法は機能しておらず空念仏となっているとの指摘がある。
「福島の子どもを西日本に避難させよ」。市民たちが文科省前で毎週水曜夕、抗議の声をあげ続けている(主催:脱原発国民の会)。昨年5月に始まった抗議行動は13日夕で40回目となった。
東京地方はこのところ厳しい冷え込みが続く。霞が関を吹き抜ける冷たいビル風に体温を奪われながらも、約50人の参加者は「子どもたちを一刻も早く避難させろ」と訴えた。
豊島区から参加した母親(40代)は小学校5年生の娘を持つ。「文科省の皆さんは深刻な被害を分かっているはずです。あなたたちはSPEEDIのデータを知りながら子どもたちを避難させなかった。依然として線量の高い所に子どもたちが住んでいます。今すぐ福島の子どもたちを避難させて下さい」。絶叫に近い母親の声が寒風をついて響いた。
大阪市の瓦礫焼却に反対し、警察に不当逮捕されたモジモジ先生こと下地真樹・阪南大学准教授も駆けつけた。「役人が守ろうとしているのは汚染者だ。子どもを守れ、命を守れ。お前たちは何をしてるんだ」。モジモジ先生は容赦なく文科官僚を責めた。
「政治は子どもたちの避難の問題と向き合わなければならない」と声をあげたのは前衆議院議員の三宅雪子さんだ。三宅さんは昨年末の総選挙に「脱原発」を訴えて野田首相(当時)の選挙区・千葉4区から立候補したが、落選した。原発被害の救済に対してますます消極的になる、その後の政治状況を予感させるような選挙結果だった。
効果の定かでない除染を優先し、避難は最小限度にとどめる。補償が膨らむことを恐れたのが民主党政権だった。安倍政権となってからは、原発事故などなかったかのように再稼働に向けたお膳立てが進む。
安倍さん、次代を担う子どもをないがしろにして「美しい国」など作れないよ。