
警戒にあたるレバノン軍兵士。=3日、ベイルート郊外アイン・エル・レマーニ地区 撮影:田中龍作=
レバノン軍団。キリスト教マロン派の民兵組織である。レバノン政府軍ではない。
世界を震撼させたパレスチナ難民キャンプ虐殺事件(1982年)で直接手を下した組織といった方が分かりやすいだろうか。イスラエル軍の2軍ともいえる。レバノン軍団を育てたのはイスラエルと米国…というのがヒズボラの見立てだ。
このレバノン軍団が、自らのテリトリーであるベイルート郊外のキリスト教徒地区にレバノン軍団の旗を林立させ始めた。地元メディアによれば3日からだ。

キリスト教徒地区に林立するレバノン軍団の旗。=4日、ベイルート郊外アイン・エル・レマーニ地区 撮影:田中龍作=
件のキリスト教地区は、ヒズボラの最重要拠点であるダヒアと道路を挟んで北隣だ。呉越同舟というにもあまりに呪われ過ぎている。
旗はイスラエルが自らの2軍であるレバノン軍団を唆(そそのか)して立てさせた…と見るのが一般的だ。
隣で旗を見せつけられるヒズボラは堪ったものではない。

キリスト教系民兵組織とヒズボラの間に割って入る政府軍。=4日、ベイルート郊外アイン・エル・レマーニ地区 撮影:田中龍作=
レバノンは過酷な内戦(1975~90年)を経験しているだけに、悪夢の再来を懸念する声は少なくない。
レバノン政府軍が旗を降ろさせようと試みたが、失敗に終わった。イスラエルが後ろ盾とあっては強硬なことはできない。
ヒズボラとキリスト教系レバノン軍団の内戦となれば、喜ぶのはイスラエルだ。漁夫の利などというレベルではない。

トーチカはイスラエル軍と戦うための物ではない。キリスト教系民兵とヒズボラが砲火を交えないように監視するためだ。=4日、ベイルート郊外アイン・エル・レマーニ地区 撮影:田中龍作=
イスラエル軍がレバノンを完全制圧するにはヒズボラの最重要拠点ダヒアを押さえなければならない。
さりとてダヒアに陸上侵攻すれば、大きな犠牲を伴う。それをレバノン軍団にやらせればよいのだ。
北からレバノン軍団が、南からイスラエル軍が攻め込んでヒズボラを挟撃する。イスラエルの目論見どおり巧く行くだろうか。
~終わり~
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敵の敵は育てて利用する。四方八方を敵に囲まれたイスラエルの知恵です。
悪魔のような国を見習えなどというつもりはさらさらありませんが、日本の外交は愚か過ぎます。
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