沖縄の怒りに本土が鈍感であることを改めて思い知らされた。沖縄県全自治体の41市町村長と市長村議会議長らが出席して、米軍の垂直離着陸機オスプレイの配備に反対する集会がきょう、日比谷野外音楽堂で開かれた。
自民党の政権復帰で日米同盟は深化の度を増している。最もしわ寄せを食うのが、米軍基地が集中する沖縄だ。
だが、マスコミがあまり取り上げないこともあり、国民の多くは沖縄の基地問題への関心が薄い。昨年末、自民党の政権復帰直後に沖縄防衛施設庁が辺野古の環境アセスを県庁に不意打ちで運び込んだことは、あまり報道されていない。
沖縄の政治家たちは、本土の理解のなさを指摘した―
口火を切ったのは翁長雄志・市長会会長だ。「沖縄県民は基地で食ってるわけではない。誤解がある。米軍基地は沖縄経済の阻害要因でしかない…」。翁長氏は集会後、筆者の質問に「(誤解は)メディアのせい。メディアは本当のことを伝えないから」と答えた。
沖縄県民大会実行委員会の玉城義和事務局長の訴えが象徴的だった。「沖縄の問題は沖縄だけで解決できる問題ではない。何卒きょうの集会を皮切りにみなさんの職場や各地で議論を深めて頂きたい。在京のメディアが報じないと(全国的な)関心は高まらない…」
沖縄から空路やってきた参加者に聞いた―
名護市の男性(58歳・公務員)は憤る。「心からワジワジしている(=心から怒り狂っている)。尖閣諸島の問題でオスプレイを持ち出してくるのはおかしい」。
名護市は海兵隊の基地建設が計画されている辺野古を抱える。もし建設されればオスプレイが配備されることになる。
豊見城市(とみぐすく)の看護師(女性・59歳)の怒りはさらに強烈だった。「これ以上沖縄をバカにするのは許さない。去年9月、(オスプレイの配備反対を政府に求める)県民大会までやって決めたのに…」。彼女は一気にまくしたてた。
集会の後、参加者4千名(主催者発表)は銀座をデモ行進し、「オスプレイの配備反対」をアピールした。
市町村長と市町村議会議長の一行は、明日(28日)、首相官邸に安倍晋三首相を訪ね「オスプレイの配備中止と普天間基地の閉鎖・返還」を陳情する。
《文・田中龍作 / 諏訪都》