「福島の事故後、最初の選挙で原発推進政権ができちゃったら、海外から不思議な国ニッポンと見られてしまう」――元環境省官僚で脱原発運動の担い手でもある小島敏郎・青山学院大学教授は憂う。
だが、マスコミと霞ヶ関は原発推進の自・民・公に次期政権を担当させたい。世論を操作できる新聞・テレビと業界団体をコントロールする官僚が、選挙の帰趨を左右する。
「年内、解散総選挙説」も飛び交い、永田町は選挙モードに包まれている。どんな政権になるかによって原発は止まりもし、動きもする。
「このまま原発推進政権を続けさせてはいけない」。危機感を抱く環境団体、市民団体などがきょう午後、衆院会館で「脱原発候補を結集させよう」と呼びかけた。
新しく「脱原発政党」のようなものを創るのではなく、既存政党やその候補者たちの「脱原発ベクトル」を一つの方向にしようという狙いだ。
呼びかけ団体からは、次のような方策が提示された―
・脱原発勢力同士の足の引っ張り合いを防ぐために、政党や候補者に対しては比例区の届け出政党を一つにしてもらう。
・候補者の「脱原発成績表」をつけてインターネットのHP上で公表する。
(脱原発基本法への賛否や日頃の脱原発運動への賛同などが評価基準となる。→成績優秀な候補者には「脱原発マーク」、成績劣悪な候補者には「放射能マーク」を付ける)
原発推進の自民、民主、公明は、全国組織がそれなりにしっかりしており、自・公は選挙戦術にも長けている。脱原発政権の樹立は、口で言うほどたやすくない。脱原発勢力の結集に向けた水面下の動きとサイレントマジョリティー(※)に期待したい。
《文・田中龍作》
(※)
リトアニアでは10月14日に原発国民投票が行われた。政府やマスコミは原発推進。街頭でインタビューしても「原発推進」の有権者が大多数を占めた。ところが投票結果はダブルスコアで「原発反対」が勝ったのである。反対票を投じた有権者は「事故が起きたら、この国はおしまい」「ノーモア・フクシマ」などと答えた。周囲を憚って日頃は息を潜めている多くの人が、原発建設に危機感を抱き、ノーの意志表示をした。リトアニアの原発国民投票を左右したのはサイレントマジョリティーだった。