「私の責任で判断」と野田首相が豪語し、スタートラインに足が乗っていた大飯原発3、4号機の再稼働。関西広域連合の事実上の容認声明を受け、号砲を待つばかりとなった。
1日夕、首相官邸前には、再稼働をなんとか阻止したい市民約2,700人が詰めかけた(呼びかけ人:「首都圏反原発連合有志」)。金曜日恒例となった抗議行動だが、人の列は今までになく長く延び、辺りには熱気が充満していた。
“もし再び原発事故が起きたら日本はおしまいだ。”参加者たちの危機感が痛いほど伝わってくる。
「これだけの人数が集まって再稼働反対を訴えている。民意は明らかだ。人の命を何だと思っているんだ!」。マイクを持ったスーツ姿の男性は声を限りに叫んだ。
人々の多くはツイッターやFacebookなどで呼びかけ合い集まっている。動員もなければ、団体も所属も関係ない。それぞれが自分の声をストレートにマイクに乗せた。
「野田首相は責任を持って決めるとか言っているが、一体どうやって責任を取るんだ!福島事故の責任はいったい誰が取ったんだ!」。ドライバーの男性(28歳)も声を上げた。
「甥っ子がかわいい。甥っ子の未来を守りたい!再稼働は絶対やめて!」。38歳の女性は国家権力の中枢へ向け思いをぶつけた。
参加者の発言の中で度々聞かれた、“民意”。この民意を完全に無視し、再稼働に突き進む野田政権への怒りと不信が極度に高まっている。
次々に暴かれる原発の黒い嘘。「免震重要棟なし」「ベントなし」、無い無い尽くしで危険このうえない原発を動かすのか。国内のみならず世界中から厳しい目が向けられていることを、野田首相は感じているのだろうか。
《文・諏訪京》
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