「福島の子供と妊婦を避難させてほしい」。市民プロジェクトが13日、国会内の民主党震災対策本部を訪ね、野田佳彦首相に宛てた要請書を提出した。要請書には、この1年間で日本全国と海外から寄せられた21,391筆の署名が添えられている。
要請書を提出したのは「Moms & Children Rescue FUKUSHIMA」の平野大輔さんと「全国子供疎開・動物命保護ネットワーク福島」の橘内芳雅さん。
「原発事故発生直後、福島に支援物資を運び込んだ時、子供が普通に外で遊んでいることに強い衝撃を覚えた」。平野さんは署名集めを始めるようになった原体験を語る。
国会内では民主党災害対策本部・福島県対策室長の稲見哲男議員と面談した。
自らも福島市内の高線量地域に住む橘内さんが、切実な要求を突き付けた―
「子供の健康検査をしてほしい。国会に福島県民を呼んで話をする場を与えてほしい。」
稲見議員:「市町村に除染するように掛け合えば、財政支援、技術支援は国がやる。福島事故収束PTは福島特措法と併せて子供の健康も議員立法で考えている」
平野さんが重ねる形で要求した―
「除染している間、子供を避難させて下さい…」
稲見議員:
「実際に動きたくない、(その)学校にいたいという子供もいる。戦時中みたいに疎開させるのは難しい。5μシーベルト以下で強制退避させたら大混乱になる」
平野さんが畳み掛けた―
「それでも子供を守っていると思いますか?」
「現地の声を聞いていきたい。国がしなければならないことがある…」。稲見議員の答えは、いかにも国会議員らしく焦点をはぐらかすものだった。
民主党・福島県対策本部は合同部会を毎週開いている。ここには(民主党)県連・県議会議員、市町村議会議員、JA、トラック協会などから100人が参加している、と稲見議員は胸を張った。
筆者(諏訪)は「この中に女性は何人位いるのですか?」と質問した。
「『女性国会議員27人の会』がオブザーバーとして参加している」。稲見議員はかわそうとした。
「地元の対策本部には女性は何人いるのですか?」
「(民主党の)県議会議員に女性はいない。市町村議に2~3人いる」。
稲見議員の答えからは、除染などに絡む利権を優先し、子供や妊婦の健康は2の次に置く政府の姿勢が垣間見えて仕方がなかった。
Moms & Children Rescue FUKUSHIMAの要請は以下の通り:
◎早急に、放射能に弱い乳幼児や妊婦、子供を福島原発30km圏から遠方に避難させること。
◎30km圏だけでなく、放射線量の強い地域からも、早急に乳幼児や妊婦、子供を遠方に避難させること。※「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/ 時以上)、「個別被ばく管理区域」(2.3マイクロシーベルト/ 時以上)にあたる放射線量が計測される地域から、乳幼児と妊婦、子供を早急に避難させること。
◎20km圏内に限定された警戒区域を抜本的に拡大すること。
(文・諏訪 京/田中龍作)
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