2日の参院予算委員会で「現時点では再稼働に反対」と大見得を切った枝野幸男経産相。ツイッターはじめネット上では賞賛の声が飛び交っているが、今朝の記者会見ではトーンダウンした。
「京都府、滋賀県知事が反対し続けた場合どうするか?」というクラブ記者の質問に対して、枝野大臣は次のように答えた―「そもそも再稼働を(認めるよう)お願いするかどうか、決まっていない段階。それぞれの皆さん(知事)がどういう反応をするかもわからない。二重の意味の仮定で、今の段階ではお答えできない」。
2日の参院予算委では「滋賀県と京都府知事の理解を得られなければ、地元の一定の理解を得たことにはならない」と答弁していた。それと比べると今朝はあいまいになっている。
フリー記者が「今の時点でも大臣は再稼働反対の意志があるのか?」と聞くとファジーな答えが返ってきた――
「福島の事故のような予想を超える地震や津波があっても大量の放射性物質の放出に陥らないということを、ストレステストを通じて安全を確認しなければ、再稼働しないというのが政府の方針です」。
枝野大臣はひと先ず原則論を述べた。その後、姿勢が不明瞭になる――「少なくとも昨日の昼の段階ではそういうことが確認された、と思っていない段階だから、そういう段階では判断できない」。
枝野大臣は「きのうの段階で」と重ねて強調した。「事故報告書の一巡精査が終わっていない段階」とも述べ、精査後、再稼働を認めることに含みを残した。
筆者はダメを押した。「技術的な安全が確認され、電力需給もひっ迫した際は再稼働にOKを出すのか?」
「安全性が確認されて電力需給の観点から必要であるということならば再稼働する、と言うのが去年の7月に政府が決めた方針です」。
「今もその気持ちに変わりはないか?」
「それを変更するつもりはない」
この答えが原発再稼働をめざす野田政権の方針だ。枝野経産相は、あくまでも「今の段階」で反対なのである。ゆめゆめ期待してはいけない。
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