『100Bq/kgを乳幼児に?絶対許さない』。冬の冷たい雨が降る6日、手製のプラカードを持ち、文科省前に立ち続ける男性がいた。ハンドルネーム、knkz2009さん(都内在住・会社員=38歳)。
食品に含む放射性セシウムの基準値が引き上げられそうになっていることに対する怒りのプチデモだ。文科省の放射線審議会(会長=丹羽太貫京大名誉教授)が2日、乳幼児食品と牛乳について、これまでの50Bq/kgを100 Bq/kgに緩めてよいとする答申案をまとめたのである。同審議会は近く厚労省に答申する。
knkz2009さんは憤りを隠さない。「校庭の放射線量の基準を1mSv/年から20mSv/年に引き上げた文科省に去年から腹がたっていた」という。
「都合のいい解釈でどんどん基準値を高くしていく。まるで問題がないかのように」「学校で『放射線は恐くない』と刷り込まれるので騒げない。騒いでもマスコミは取り上げない」。
「お上がいろいろ決めて損害は庶民が被る。これが今回の原発事故で凄まじく表に出た」。Knkz2009さんは怒りをぶちまけるように話した。小刻みに体が震えていたのは冷たい雨に打たれたためだけではない。
両親や親戚は福島市に住む。彼は被曝に人一倍気を揉む。
knkz2009さんは「これからも時間の余裕を見ては文科省前に立つ。輪が広がるといいですね」と微笑んだ。
プチデモはもはや東電前に留まらない。原発事故に絡むありとあらゆる機関、個人が対象となる。プラカードさえあれば一人でも怒りの意志を表すことができる。