官房長官在任時に「メルトダウンはしていない」「ただちに健康に影響はない」…安全デマを振り撒き、夥しい数の福島県民を被曝させた枝野幸男・現経産相。そのお膝元である大宮で市民が4日、「脱原発デモ」を繰り広げた。
ハンドルネーム、マーシーさん(男性・30代=所沢在住・会社員)がツイッターで呼びかけた。参加者100人余りの大半は埼玉県からだが、東京都や神奈川県から足を運んだ人たちもいた。
大宮から電車で1時間ほど離れた鶴ヶ島市から参加した主婦(50代)は福島県いわき市出身だ。弟家族と認知症の母(85歳)は、いわき市に住む。弟は「ここはチェルノブイリだ」と吐き捨てるように言う。親戚もいわき市に住むが、「もう原発は要らない」と口々に話す。
地元大宮在住の主婦(60代)は「未来の子供を守りたくて」参加した。「娘は『この終わった日本で子供を産みたくない』と悲観する。息子も同じことを言う。私は一生孫を抱けないんです」。
「子供を大事にしない国に将来はない」と筆者は言い続けてきたが、日本の実情はもっと酷い。女性が子供を作ることをためらっているのである。
大宮の主婦は青春時代の7年間を広島で過ごした。友人に被曝2世がいる。「鎮痛剤を投与しながらの暮らしなのに被曝手帳をもらえない」という。夫は福島県出身だ。「福島の人たちは広島の被曝者と同じ目に遭う。苦しみながら長生きするんです」。女性を嘆かせる国の前途は暗い。
政府と記者クラブメディアは内部被曝を過少評価しているが、実態から目を背けているとしか思えない。
『子供を安心して産みたい』のプラカードを持つ女性(20代・写真)は、フィアンセと共に参加した。「果たして本当に子供を産んでよいものか?いっそのこと日本から脱出した方がよいのではないだろうか」。女性は切々と語った。
デモ隊が街を練り歩いていた頃、人々を不安のどん底に叩き落とした官房長官(事故当時)は、地元大宮の支持者を集めて講演会を開いていた。会場となったホテルのそばを通り過ぎる時、シュプレヒコールの声は一段と大きくなった―
「放射能から子供を守れ」「子供をすぐに避難させろ」…
人々の声は枝野大臣にどのように響いたのだろうか。