記者クラブ幹事社から事情聴取された ~後編~

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記者クラブのいかつい看板。「○○組」とでもした方がお似合だ。「関係者以外立ち入り禁止」の貼り紙がある。クリカラモンモンのお兄さんが「おいオマエ、何しとんのや?」と出てきそうで怖かった。(総務省8階。写真:筆者撮影)

 記者クラブ幹事社による事情聴取は21日、片山総務大臣記者会見の後行われた。聴取に応じたのは畠山理仁氏、上杉隆氏はじめ6人のフリー記者。
 「任意の聴取」と告げられていたが“油断してはならない”と肝に銘じた。お手打ちに遭っても闇に葬られるだけだ。警察、検察は記者クラブと身内の関係にあり、フリー記者が6人程度行方不明になっても捜査に乗り出すようなことはない。実際、警察幹部から「フリージャーナリストなんてのはなあ、銀バエと同じなんだよ」と言われたフリー記者もいる。
 我ら6人が消えても世間は知りようがない。記者クラブがフリー記者による動画中継を禁止しているからだ。とにかく生きて帰ることだけを考えた。
 聴取が始まった。幹事社のX社・A氏とY者・B氏の2人は至って誠実そうな人柄だった。「ご要望はなんでしょうか?」と丁寧に聴いてきた。畠山氏が記者会見で記者クラブの非常識(記者クラブにとっては常識)を幾度も大臣に質すため座視できなくなったのだ。
 フリー記者側からの要望は大きく分けて二つだった。「動画中継を認めてほしい」「記者会見出席の登録にあたって制限をなくしてほしい」。大臣への質問と同じ内容である。
 動画中継はほぼ1年前から畠山氏が要望してきたものだ。ところがA氏B氏共に「それは聞いていない」というのだ。前の幹事社から引き継がれていないのである。別段驚きはしなかった。幹事社は2~3ヶ月ごとに交代するが、その際の引継ぎ事項とならないのだ。
 畠山氏は何年も前から各省庁の記者クラブに記者会見のオープン化を求めてきた。返事は決まって「クラブ総会にかけないと・・・」だ。そこでクラブ総会の結論を聞こうとすると幹事社が交代している。これが畠山氏と記者クラブとの交渉の歴史だ。歴史というには余りにも内容が空疎すぎて悲しくなるではないか。
 幹事社交代は彼らにとって実に都合のよい「消去装置」だ。X社とY社の幹事社の任期は12月末までという。任期が残り10日になったところでフリー記者側の要望を聞く。返事をしなくても済む。次期幹事社に回答を求めても「聞いていない」だ。
 筆者はそれを見越して次のように迫った。「おふたり(X社のA氏、Y社のB氏)が幹事社のうちに回答を頂けませんか?1年間『聞いていない』で通されたんだから次の幹事社が回答するとは思えない」

 A氏が「クラブ総会にかけてからでないと・・・」と苦しそうに答えた。総会は27日に開かれるそうだ。各社の見解は「会社に持ち帰ってから」となる。会社の上司に相談もしないだろう。したとしても「ダメだ」ということになるのは必定だ。
 来月からは新しい幹事社となる。こちらが返事を聞きに行っても「聞いていない」あるいは「要望は認められない」と答えられるのがオチだ。要望が却下された理由を追及すると「クラブ総会で決まったから」となる。絵に描いたような光景が目に浮かぶ。
 最近、筆者は思うようになった――
「記者クラブ総会」とは国権の最高機関である。憲法改正だって可能かもしれない。

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