菅直人首相が繰り言のように口にする「ノーサイド」「挙党一致」が空々しく響く光景が目の前にあった。民主党は18日、党役員人事の了承を得るために両院議員総会を開いたが、会場の憲政記念館はご覧(写真)のようにガラガラだ。
4日前に行われた代表選挙で敗北を喫した小沢一郎・前幹事長は姿を見せなかった。首相が提示した「代表代行」の役職を蹴ったことの意思表示だ。党役職にも内閣にも小沢グループと言われる議員の名前は一人もいない。松木けんこう氏ら小沢グループのコアメンバーが揃って欠席したのも頷ける。
代表選挙で菅氏に投票したある参院議員は「この人事じゃ『小沢外し』と言われてもしょうがない」と話す。この夜の記者会見で菅首相は記者団から「『小沢外し』か?」と問われ「小沢グループの定義がわからない」ととぼけた。
参院選大敗北の余韻もさめやらぬ7月29日、同じ会場で開かれた前回の両院議員総会は満席だった。その落差は民主党の浮き沈みの激しさを象徴しているように思えてならない。
参院での「ねじれ」に加えて200人もの「党内野党」を抱える菅政権。自民党を抱き込めば支持率は下がり、党内から突き上げに遭う。抱き込まなければ法案は通らず、これも支持率を低下させる。菅政権のダッチロールが始まる頃、円は60円前後まで上がっているのではないだろうか。輸出産業はバタバタと倒産し、巷には失業者があふれるだろう。
エコノミストたちは「日本単独の市場介入は砂漠に水を撒くようなもの、効果はない」と菅政権の円高政策に首を傾げる。単独介入をめぐっては欧米の通貨当局からも批判がある。菅首相はこれについて米国の通信社の記者から聞かれたが、質問の意味さえよく飲み込めていないようだった。経済オンチの本領発揮で菅改造内閣はスタートした。
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