記者クラブにしがみつき滅び行く新聞・テレビ

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大手メディアからの回答を公表する「会見開放を求める会」の中心メンバー(18日、新宿区内の法律事務所。撮影:筆者)

 新聞・テレビ各社は想像通り既得権益にしがみついた。フリー記者や弁護士などで作る「会見開放を求める会」は4月19日から大手新聞社、テレビ局、通信社の計231社に記者会見と記者室を開放してもらえないかと書面で要望していたが、寄せられた回答がこのほどまとまった。 
 ほとんどの社が記者会見と記者室の開放には総論で賛成のポーズを取っているが、「各記者クラブの実情に応じて」「場所の管理権」などと各論で事実上拒んでいるのが特徴だ。
 231社のうち回答したのはわずか55社(内訳は新聞社25社、通信社1社、放送局29社)。回答率は23・8%という低さだ。
 「会見開放を求める会」が回答結果を公表するため総務省記者クラブに「記者会見を開きたい」と申し入れたが断られた。理由は「総務省記者クラブが適切だと思わない」「会見場は狭い」など。
 バカも休み休み言え。上記は断る理由になっていない。総務省は情報公開を所管する役所だから同省で記者会見することが相応しいのだ。会見場は毎日のように大臣や当局者、通信会社が記者会見を開いている。
 総務省記者クラブはあまたある記者クラブの中でも最も閉鎖的であることを、筆者は身を持って知っている。総務大臣の記者会見に参加するにあたっては、先ず記者クラブにお伺いを立てなければならない。めでたく参加できても、あれこれ制約が加わる。動画中継を禁止されたり、質問ができなかったり。国民の知る権利を押さえ込んでいる機関が記者クラブであるということの象徴的な例だ。
 これではヤクザが縄張りを主張するのと同じである。「ここを誰のシマだと思ってるんだ」と。
 「会見開放を求める会」事務局が、原則賛成している社に「いつから開放してくれるんですか?」と聞いたところ、「また協議しますから」という返事が返ってきたという。
 フリー記者の畠山理仁氏が指摘する―「記者クラブに出席のお伺いを立てると『クラブで協議します』という答えが返ってくる。返事を待ちかねて催促の電話を入れると幹事社が変わっていて、また一から交渉をやり直す。こうして一年が経つ」。
 大手メディアはこの先も記者会見と記者室を開放しないだろう。
 今やインターネットの発達で新聞・テレビに頼らずとも官庁、企業、政党の情報は、いとも簡単に入手できる。記者クラブ発の官製・横並び情報に読者や視聴者は疑いの目を向け始めた。新聞・テレビ報道がなくても事足りるようになっているのが実情だ。それが新聞離れ、テレビ離れに結びついているのである。新聞・テレビ報道は記者クラブにしがみついたまま滅びてゆくのだろうか。

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