「記者クラブ問題」が騒がれない理由

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ヘルシンキ。海外ではジャーナリストの要件を満たしていれば会社も国籍も関係なく記者会見に出席できる(05年、アチェ和平調印式。手前から2番目はアハティサーリ・フィンランド元大統領。この和平調印でノーベル平和賞を受賞した。撮影:筆者)

 「記者クラブ問題」がなぜ大問題にならないのか。答えは実に簡単だ。当事者である新聞・テレビがそれを報道しないからだ。
 著名で影響力のあるフリー・ジャーナリストもほとんど騒がない。なぜなら彼らはテレビ出演で顔を売ることで、ネームバリューを高めているからだ。大新聞にコラムを書いたり、コメントを出したりもする。自らの宣伝媒体である新聞・テレビを敵に回すようなことはしない。 
 江川紹子氏、大谷昭宏氏などは「記者クラブ問題」を一切口にしない。彼らが新聞社出身ということもある(江川氏=神奈川新聞、大谷氏=読売新聞)。
 「記者会見の開放」に取り組んでいるメンバーの中にも新聞社・通信社出身者は結構いるが、常時テレビ出演している江川氏、大谷氏ほど知名度はない。「記者クラブ問題」がメジャーにならない理由のひとつでもある。
 税金で賄われている役所の広い一室を無料で独占し、国民のための行政に関する情報も独占する。ヤクザが神社の境内を占有し営業しているのと何ひとつ変わらない。
 去る12日夕、港区の多目的ホールで、亀井静香金融・郵政担当相に市民が質問する「オープン記者会見」が開かれた。(『田中龍作ジャーナル』でも伝えた)
 勤め帰りのサラリーマンは、「記者会見は本来国民に開かれてあるべきだ。きょうはそれが実現されたので来た」と目を輝かせた。
 大阪から駆けつけた男性は辛らつだった。「(オープン会見は)テレビのようなウソがないことがわかった」。
 市民には大手メディアが情報を独占し、自分たちの都合のいい所だけを伝えているのではないかという不信感がある。
 日本の記者クラブ問題は世界からも不信の目を向けられている。日本政府はEUから2002~3年と2年続けて「記者クラブは非関税障壁である」として抗議されたのである。最近でこそ改善されたが、EU首脳に同行して来日したヨーロッパの記者が官邸での記者会見に出席できない、という摩訶不思議な事態が続いていたのであった。
 著名なジャーナリストが騒ぐ騒がないの問題ではなく、日本の恥として記者クラブは一刻も早くなくすべきではないだろうか。

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