鳩山政権迷走で派遣法改正は風前の灯火

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「派遣切りを放置するな」。抗議の声を挙げる派遣労働者たち(国会前で。撮影:筆者)

【ハケンという蟻地獄】

 鳩山政権に裏切られたのは沖縄県民ばかりではなかった。派遣法の抜本改正に期待を寄せていた派遣労働者たちが今、大きな不安に苛まれている。

 沖縄県民同様、民主党への不信感や怒りを募らせる派遣労働者ら50人余りが、国会前に集結した。雨の降りしきるなか「派遣切りを放置するな」「今国会での成立を急げ」と抗議の声を挙げた。

 派遣法の抜本改正は、夥しい数の派遣労働者が職と住まいを同時に失い社会問題となった「派遣切りの惨劇」を繰り返さないための法改正だ。民主党はマニフェストに掲げて昨年の総選挙を戦い、政権奪取後は国民新党、社民党との3党合意にも盛り込んだほどの重要法案だった。

 抜本改正の背骨は、仕事がある時だけ雇用関係を結ぶ「登録型派遣の禁止」と労働者を使い捨ての部品同然に扱う「製造業への派遣禁止」だ。抜け穴だらけだが、従来よりも派遣労働者の待遇が格段に向上することから、彼らは歓迎した。対象は120万人にも上るものと見られる。

 ところが「普天間問題」や「政治とカネ」などで鳩山政権が迷走を続けているため、「改正派遣法案」の審議は4月23日に衆院厚生労働委員会でたったの一度行われただけだ。まさに店ざらしの状態なのである。

 夏の参院選では民主党の敗北が予想されており、連立の枠組みが変わる可能性もある。派遣法の抜本改正に本腰を入れていた社民党と国民新党のいずれかが連立政権から離脱したり、政権内での発言力が弱まったりすることもあるのだ。そうなれば、民主党が大労組を抱えて及び腰であることから、派遣法の抜本改正は水泡に帰す恐れもある。

 千葉県内の非正規労働者のユニオン幹部は「(派遣法改正は)風前の灯火だ」と危機感を募らせる。派遣法改正は今国会で成立させる必要があるのだ。

 日雇い派遣で引越しの仕事に携わっている男性(41歳・練馬区)は、1日8時間働いても手取りが5千円を切る。不況で派遣会社がダンピングするからだ。しかも仕事があるのは週末の3日だけという。「派遣法改正をダラダラと延ばさないで下さい。政治の力を私たちに貸して下さい」、男性は声を絞り出すようにして訴えた。

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